2022年4月18日
本日更新する日記は探鳥ガイド記。
今月3日は隣県のお客様よりガイドの依頼を頂き探鳥に出かけてきました。
お客様のお目当てはヤツガシラ。
併せて渡りの珍鳥と他3種のリクエストを受けましたが、メインとされていたヤツガシラに関しては運次第。
観察時期として最適ではあるものの神出鬼没のヤツガシラが相手とあって捜索は容易でありません。
加えて南西諸島に比べると通過個体が少ないことから空振りに終わる可能性も高いことをご承諾頂いたうえでガイドを引き受ける運びとなりました。
午前7時に道の駅『秋田港』で待ち合わせをして早速探鳥を開始。
先ずは前日の午前までヤツガシラが出ていた場所を見て回りましたが残念ながら見当たらず..
更に未だ滞在を続けていたオオチドリもタイミング悪く抜けてしまい当てが外れてしまった私はガッカリ。
それならばとヤツガシラが立ち寄りそうな場所を隈無くチェックしてみたものの全くもって見当たりません。
捜索の合間にシベリアジュリンを見つけることができたので先ずはこちらを観察して頂くことに。
今季はシベリアジュリンの当たり年と言われるだけあり本当に多くの個体を目にします。
時期的に夏羽へ換羽していてもよさそうなものですが今回観察できた個体はほぼ冬羽でした。
警戒心が強い個体であったことから距離の置き方に難儀させられ、更に大気の揺らぎが強く撮影した画像を確認しても今一つシャッキリとしません。
気温が上昇することで少々距離があるだけでも撮影に影響が出てしまいます。
時間を掛けることで発見当初に比べると条件としては良くなりましたが、本当に手強い相手でした。
シベリアジュリンの観察を終えた後は再びヤツガシラの捜索を続けたものの結果としては見つけることができず..
時刻を確認してみると正午近くになっていたことからリクエストにあった他の種の捜索をすることに。
リストに挙げられた珍鳥以外の他3種はどれも観察時期として難しいもので、その中で唯一実現出来そうだったのはセイタカシギ。
本県においては4月下旬頃ともなると容易に観察できますが、ガイドを行った上旬は時期尚早。
時期的な問題から考え方によってはヤツガシラの捜索と同等の難易度でしたが、リクエストに応えるべく捜索を開始しました。
その道中に少しだけヨシガモを観察。
光の波長によって見え方の変わる構造色を観察し、この後に見掛けたのはウミアイサの群れ。
画像に写るのはほんの一部で未だ嘗てないほどの群を見ることができました。
捜索をしているとオオジュリンが複数見られたことから、撮影した画像を元にシベリアジュリンとの違いを解説。
肝心のセイタカシギを発見できずにいたところ目にしたのはオジロワシのペア。
まだ本県へ留まっていたことに少々驚かされました。
大気の揺らぎが酷く綺麗に撮影することは出来ませんでしたが一つの記録として残しておくことに。
なかなかお客様のリクエストに応えることができずにいた私は精神的に追い込まる一方。
自然相手とあって仕方ないと言えばそれまでですが、性格上そう簡単に割りきることができません。
ガイドを生業としていたらきっと身が持たないことでしょう。
ここのところ私はガイドに向いてないと思うことも多く、悪しき精神状態を察したのか鳥神様が降臨。
やっとの思いでセイタカシギを見つけることができました。
先ずはこの個体の性格を知る為に直ぐ距離を縮めることはせず少し離れた場所から観察を開始。
セイタカシギを見ていると突然飛び出してきたのがタシギ。
一瞬コシギかと思い慌てふためきましたが鳥神様もそこまで甘くありません。
こちらを気にしていたのかタシギはそそくさと草むらの中へ..
その一方でセイタカシギは採餌に夢中な為かこちらを全く気にしていない様子。
そこで車を移動して距離を詰めてみることに。
観察するにあたって申し分のない距離であったことから、お客様は「秋田に来た甲斐があった」と大変喜ばれていました。
当ホームページの観察日記を熱心に見て頂いているそうですが、今回ガイドを依頼するにあたり探鳥は勿論のこと観察時における車の動かし方を知りたかったそうです。
近い距離からセイタカシギの観察を続けていましたが、更に相手側から近寄ってくることで目の前で採餌の様子を見ることができました。
今まで見てきたセイタカシギのなかでも一番と言っていいほど忙しく動き回る個体だった為、移動する方向に先回りする形での観察。
どうやら小魚を水深の浅い場所に追いたてて獲物を捕えていたようです。
右に行ったと思えば左に、左に行ったと思えば右にといった形で採餌の方法としてはカラシラサギを彷彿とさせました。
突然進行方向を変えるので撮影した画像の構図は滅茶苦茶。
あまりにも近くに寄ってくることで全身をフレームに納めることができない場面も。
長い脚を活かし水深の深い所へも入ることがありましたが、魚を捕える際には頭ごと突っ込む場面も見られました。
ここで画像を拡大。
小魚を捕まえた瞬間の画像ですが近い距離から撮影できたこともあり、鮮明な画像を残すことができました。
また順光で観察できたことが功を奏し角度によって色が変化して見える翼上面を観察できたことも収穫でした。
十分に満足のいく観察ができたところでお客様の時間許す限り行きあたりばったりの探鳥を行うことに。
お客様は北海道での旅行を計画されているとのことで旅先で見られる生き物の話をしながら探鳥を行い、この日の最後は未だ渡らずにいるハイイロチュウヒを観察してガイドは終了。
残念ながら一番のお目当てとしていたヤツガシラには出会えませんでしたが、リクエストにあったセイタカシギを見ることができたのは何よりでした。
また観察時における鳥との間合いの取り方、車の動かし方を今後の観察に活かして戴けると幸いです。
Hさん、長時間の移動と観察お疲れ様でした。
また機会がありましたら秋田へお越しくださいませ。
今回の探鳥ガイド記はここまで。