2022年6月24日
本日更新する日記は嘗てないほどのドタバタ劇を綴る観察旅行記。
未だ自分でも信じられないほどの展開となった今回の旅行。
先月に引き続き今回も道東の旅行を計画しました。
旅の目的は国内で姿を見る機会が減りつつあるエトピリカの観察。
実は数年前からこの旅行を計画していたもののコロナの影響により肝心要の落石ネイチャークルーズが休業。
ようやくコロナが落ち着いてきたことに加えて世の流れもwithコロナになったこともあり船の運航が再開。
念願叶って観察のチャンスが到来しました。
出発を目前に控え天候だけが気掛かりだった前日、搭乗を予定していたANAから届いたメールに目を通してみると...
チャンスどころかピンチ到来。
慌てて天気図を確認してみると北海道の西側に低気圧が二つ。
等圧線の間隔が狭く風雨が強まることは素人目に見ても一目瞭然です。
しかしこの時点では祈ることしかできず旅の準備を済ませ出発当日の朝を迎えると再びANAからお知らせのメールが...
乗り継ぎを含め予定通り中標津空港へ到着することができたとしても北海道全域が荒れた天候とあって船の欠航は免れません。
この様な理由から今回の旅行は泣く泣く中止の決断をしました。
有給休暇を取り止め普段通りに出勤をしようと考えていましたが、ここでレジャーの神様が降臨。
『石垣島はどうだろう?』
そんな声が聞こえたような気がして空席・乗り継ぎの時間を確認してみたところ辛うじてクリア。
しかし問題だったのは秋田空港を出発する時刻が当初予約していた便よりも20分早くギリギリの状態。
それに加えて準備していた荷物は防寒対策でびっしり。
慌てて荷物を放り出し薄手の衣服を詰め込み大急ぎで自宅を出発しました。
秋田空港へ到着したと同時にカウンターで秋田⇔千歳⇔中標津のチケットを全てキャンセル。
次いで秋田⇔羽田⇔石垣のチケットを取得しギリギリの状況で秋田空港を離れました。
窓から見えたのは当初乗るはずだった千歳行の便。
果たしてこの先どうなることやら...
今までにこれほど慌ただしい朝はあったでしょうか。
出発に間に合いホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、問題はまだ続きます。
搭乗した飛行機が墜落しない限り石垣島へ辿り着くことはできますが、レンタカーを予約していなければ宿の予約も済ませていません。
このところの報道にある通りコロナの反動からか沖縄県はレンタカー不足の状態が続いているそうです。
しかも今時期の沖縄県は梅雨明け直後で一年で最も良い季節。
つまり観光という面においてはハイシーズンに当たることからレンタカーの争奪戦は至極当然の話。
問題は山積していましたが急遽石垣島へ向かっていることを現地在住の友人に連絡。
事の経緯を全て伝えたところ何と車を貸してくれるというのです。
更に『部屋が空いているので宜しければ泊まって下さい。空港までお迎えにあがります^^』というお話に感涙の極み。
安定した気流のなかフライトは順調に進んで眼下に見えてきたのは沖縄本島。
まるで乗る便を間違えているかのような錯覚を感じました。
電車では乗り間違えということがあっても飛行機では有り得ない話。
しかし起床するまでは北海道へ行くはずでしたが僅か数十分のうちに石垣島行きを決め、それを実行している自分が信じられません。
宮古島上空を通過した頃から着陸態勢に入り14時30分、定刻に『南ぬ島・石垣空港』へ到着。
搭乗していた便がほぼ満席だったのは勿論のこと観光客でごった返す石垣空港。
預けていた手荷物を受け取り一歩外へ出ると湿度が高く真夏のプールの更衣室を思わせる空気感。
「暑い...」
暑さに滅法弱い私にとって厳しい陽気でしたが、迎えに来てくれた友人の笑顔に気持ちは一転しました。
再会の挨拶を済ませたところで一旦友人宅へ。
『遠藤さん、今夜はバーベキューでいいかな?』
と荷物を置いたところで友人は仕事へ戻りましたが、忙しい合間を縫って迎えに来てくれたことを思うと申し訳なささえ感じます。
18時30分頃からバーベキューを始めたいとのことでしたので、それまでの間ちょっとだけバードウォッチングに出掛けることにしました。
先ず始めに足を運んだのは友人に教えて頂いたリュウキュウコノハズクの繁殖場所。
個体数が多いだけに島内のあちこちで繁殖しているようですが、虚から顔を覗かせる雌の個体を見ることができるかもしれないとのことでした。
現地へ到着すると残念ながら虚にはそれらしき姿は確認できず。
お留守のようだったことからその場を離れようとしたところ虚の近くで熟睡しているリュウキュウコノハズクを発見。
こちらは雄の個体でしょうか。
本州で見られるコノハズクとは別種になるため体長はやや大きいものの、明るい時間帯に見るとかなり小さく感じます。
育雛中でお疲れなのか熟睡していたことからそっとその場を後にするとリュウキュウアカショウビンを目にしました。
こちらは個体数が多く島内のあちこちで見られます。
本州では見ることの難しいアカショウビンも石垣島では容易に見ることができ、移動の際には車道を横切ることも当たり前。
鳴き声に至っては島内において聞けない場所はないと云っても過言ではないでしょう。
今や「勝手知ったる石垣島」と言えるようになった石垣島。
過去に何度か訪れたことで主要な観察ポイントは頭に入っています。
次に足を運んだのは石垣島の観察で誰もが訪れる休耕田エリア。
こちらではレンカクの観察を期待しましたが残念ながら既に抜けてしまった後でした。
その代わりと言っては失礼な話ですがソリハシセイタカシギを確認。
過去の観察を振り返ってみても一番近い距離でじっくりと観察することができました。
首を左右に振るようにして採餌する姿は独特。
通行人の往来により一時的に距離が離れることはあっても遠くに移動することはなく再び良い位置まで接近してきます。
同じ休耕田で採餌をしていたセイタカシギも併せて撮影。
両者共足の長い鳥ですが嘴の形状が異なることで採餌方法に違いが見られました。
ふと見ると付近に見慣れぬ小鳥が止まっており、よく見てみたところシマキンパラと判明。
こちらは外来種とされていますが与那国島では自然渡来の可能性もあるそうです。
与那国島が自然渡来となれば石垣島に渡来してもおかしくないような気もしますが実際のことろどうなのでしょう。
休耕田エリアではこの他にカルガモ・ハシビロガモ・アオアシシギ・バン・シロハラクイナなどが見られ、時々コアジサシの姿も見られました。
田んぼでアジサシ類と言えば沼アジサシと呼ばれる類いを連想しますが、コアジサシが飛来することに意外性を感じます。
多種多様な野鳥たちを観察していると不意に飛翔するリュウキュウヨシゴイを目にしました。
リュウキュウヨシゴイを目にしたのは池間島での観察以来。
その際は遠巻きを飛ぶ姿がほとんどで観察らしい観察を出来なかったことから近くで見られないかと思っていたところ...
何を思ったのか雌のリュウキュウヨシゴイが目の前に飛来。
自分で飛んできておきながら目の前にいる人間にビックリしている様子。
飛んで距離を取るのかと思いきや身を屈めながら歩きコソコソと草むらに姿を隠してしまいました。
何か面白い行動を見ることができたらと思い草むらから出てくることを期待し辛抱強く待ってみましたが出て来る気配は一向に感じられません。
それでも尚、観察のチャンスが巡ってくることを待っていると雄のリュウキュウヨシゴイが飛来。
こちらはやや離れた場所に降りましたが遠巻きながらも様子を伺っていると草むらを出入りしながらこちら側へ向かって移動していることが分かりました。
雌の個体は距離が近過ぎて微動だにしなかったこともあり少し車を移動して雄の接近を待ってみることに。
辺りの様子を伺いながらもこちら側へ接近しつつありましたが、行動を見る限りオオヨシゴイに似ていると感じました。
途中立ち止まり体を震わせて羽をブルブル。
リュウキュウヨシゴイはヨシゴイに比べると比較的乾いた環境を好むのかもしれません。
虹彩を見てもオオヨシゴイと同様で黒色斑があり瞳孔に繋がっているような特徴があります。
こうした特徴からもヨシゴイに比べるとリュウキュウヨシゴイはオオヨシゴイの近縁種に当たるのかもしれません。
どんどんこちら側へ接近してきた雄の個体でしたが、流石に近く過ぎると判断したのかピント合わせが不可となる位置でUターン。
そそくさと草むらの中へ隠れてしまいました。
時刻を確認してみると18時を過ぎていたことからこの日の観察はここまで。
友人宅へ向かい移動を始めて間もなくシロハラクイナの幼鳥と遭遇。
慌てたように農道脇の草地へ身を隠しましたが程なくして親鳥と思われるシロハラクイナが農道を通過しました。
石垣島では所構わずシロハラクイナが飛び出してくるので移動の際は注意が必要です。
友人宅へ戻り玄関のドアを開くとチビッ子2人がお出迎え。
『ママー!かっこいいお兄さんが来たよ!』
なんて正直な...100点満点。
お邪魔するや否や山盛りのパイナップルで歓迎して頂き笑みが絶えませんでした。
念願叶って友人とは初めての乾杯。
夜更けまで会話が弾み楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。
遅くまで語らっていたこともあり翌日はかなりゆっくりとしたスタート。
日程2日目の様子は後日更新の日記へ続きます。