前回の続き。
道東へ行くはずだった今回の旅行。
天候の悪化を理由に旅行の中止を決断しましたが思いつきでやって来たのは石垣島。
東の果てから西の果てへと方角的に見ても正反対であることから飛行機を乗り間違えたような錯覚に...
レンタカー、宿の予約を済ませないまま飛行機に飛び乗りましたが、石垣島在住の友人は無謀極まりない私を温かく出迎えてくれました。
日程初日は約3時間ほど観察を楽しみ、夜は友人宅でバーベキュー。
友人とは兼ねてから酒を酌み交わしたいと思っていたこともあり会話が弾み気が付くと深夜になっていました。
2022年6月25日
日程2日目の朝はリュウキュウアカショウビンの鳴き声で起床。
一度は目を覚ましたものの深夜まで起きていたこともあり再び爆睡。
二度寝から目を覚ますと既に陽は高く昇りカンカン照りといった様子でした。
バードウォッチャーは鳥の行動が最も活発となる早朝の時間帯に活動を開始しますが流石にこの日はゆっくりめのスタート。
この日以降は無事に宿を確保できたので奥様とチビッ子たちとはここでお別れ。
急な訪問にも関わらず温かく出迎えて頂いたことに感謝しかありません。
友人宅を出発して間もなく、道路沿いの樹木に止まるリュウキュウアカショウビンを目にしました。
車通りの多い場所ですが何ら警戒する様子もなく付近の電線にはチュウダイズアカアオバトの姿も。
この鳥は電線に止まる姿をよく目にします。
海沿いに出ると干潮の時刻にあたったようでかなり潮が引いている状態でした。
南西諸島ではクロサギの白色型が見られるため良い形での出会いを期待していましたがサギ類の多くは遥か彼方。
潮が引いたことで餌の採り易い場所へ移動したのでしょう。
唯一近い位置で採餌をしていた黒いクロサギをちょっとだけ観察。
ちょっととは言っても地元での観察を考えると充分な内容。
人の気配が多い場所で暮らしている為か警戒心がまるで違います。
身を屈めながら歩き回り餌となる生物を探す様子が見られました。
欲を言うと南国らしい海の色を背景に撮影できたら良かったのですが、ちょうどこの時は太陽が雲の陰になってしまいエメラルドグリーンの背景で写すことができず...
それにしてもクロサギは何を餌としていたのか気になります。
周囲にはミナミトビハゼが沢山いたことから、こちらを餌としていたのでしょうか?
ビーチサンダルを買って観察するとより踏み込んだ場面を見ることが出来たかもしれません。
しかし今となっては後のカーニバル。
ちょっとした高台へ移動して周囲の景色を眺めると間近に浮かぶ竹富島を見ることができました。
より近い位置から撮影しようと移動したものの...
イメージ通りに写すことができず。
高低差があったことで美しく見えた景色も平面では表現が難しいようです。
結局のところバスクリンカラーの海を表現するのはスマホでの撮影が一番でした。
漁港を写してもこの通り。
風の吹くまま運任せに車を走らせるとズグロミゾゴイと遭遇。
道路脇で餌を探しているようでしたが思わぬ展開に。
発見当初は車内から観察を続けていたものの全くと言っていいほど警戒心を感じません。
物は試しと車を降りてもこちらを気にする様子は見られず。
剥き出しの身であれば「幾ら何でも流石に気にするだろう」といった距離でしたが私が近付かなくともズグロミゾゴイがどんどん近寄ってきてしまいます。
あまりの警戒心の無さに嬉しいを通り越して心配になってしまうほど。
結果として私が後退する羽目になり、しゃがんだまま後退りすると運動神経が鈍くなったオジサンは当然のようにすっ転ぶ。
滝のように汗を流し鳥の撮影をしながら転んでいる様は端から見てさぞ滑稽だったことでしょう。
ひっくり返ってもがいている私を余所にズグロミゾゴイは淡々と採餌を続け私の横を通過していきました。
ここで一旦撮影を止めてズグロミゾゴイの横に立ってみることに。
やはり私を気にする様子もなく少しずつ移動しながら採餌を続けていましたが、私としてはズグロミゾゴイをペットして散歩をしているような気分でした。
この様な機会はもう二度とないかもしれません。
思い出にとスマホで撮影しTwitterに画像を掲載しましたが、広角レンズでも撮影させてもらいました。
一頻り観察できたところで場所を移動したところリュウキュウアカショウビンが横切り枝に止まる姿を目にしました。
こっそりと歩み寄り木陰から観察。
どうやら地面で動く昆虫を狙っているようです。
なかなか動きが無く膠着状態が続いたことから何気なく視線を移したところ...
「うおっ!?」
リュウキュウコノハズクを発見。
棚から牡丹餅。
探鳥力の衰えを感じる昨今、運任せでこうした出会いに恵まれるのは石垣島ならではでしょうか。
前日の夜に友人との会話にありましたが、Twitterを介して石垣島へ訪れる若手バードウォッチャーの探鳥力は目を見張るものがあるそうです。
Twitterのタイムラインを見ていても感じますが、オジサン同士の会話で行き着く先は「若い人たちみんな凄いよね」という言葉に尽きました。
残念ながら私にそのような能力はありませんがそこは運でカバー。
付近に営巣している可能性もあり刺激の無いよう何枚か撮影させてもらったところで早々に場所を移動。
次に足を運んだのは前日も観察を行った休耕田エリア。
観察場所へ到着するや否や血圧急上昇。
「タ マ シ ギ が い る !!!」
何をそんなに興奮することがあるのかと仰る方も多いことでしょう。
地域によっては容易に見られるようですが私にとって初見であり「いつか見れたら」と恋焦がれていた存在でした。
地元での観察を夢見ていましたがおそらく秋田県には生息していないはず。
私の知る限り秋田県において最後の記録は20年前になります。
恋焦がれていたタマシギを知ったのは野鳥観察を始めて間もない頃。
初めて手にした図鑑を開きパラパラとページをめくっていると雷に打たれたような衝撃が走りました。
「何だこの変な鳥は!」
図鑑を見て吹き出したのはタマシギくらいではないでしょうか。
その日から早13年、落ち着けるはずもありません。
石垣島に生息していることは把握していたものの、これまで観察のチャンスに恵まれず余所様の画像を指を咥えて見ているだけでしたが、たまたま立ち寄っただけで見ることが出来るとは...
棚から牡丹餅、この日2回目。
観察を続けることで何故今まで見ることが出来なかったのかが見えてきました。
この時は運良く開けた場所に出ていたものの普段は草むらの中やブッシュの縁に身を隠していることが多いようです。
このため付近にいたとしても今まで存在に気付けなかっただけなのかもしれません。
一妻多夫のタマシギは姉さん女房のような気質があるのか、控えめな雄を横に接近してくるバンを威嚇。
何度か同じような行動が見られ鳴き声も聞くことが出来たのは大きな収穫でした。
依然として採餌を続けるソリハシセイタカシギとタマシギを眺めつつ、リュウキュウヨシゴイの登場を待ちます。
ソリハシセイタカシギの採餌の様子を撮影した動画はこちら。
前日は17時を過ぎた頃から活発に動き始めたこともあり狙いを定めるように待機していたところ全く同じ場所へ雄のリュウキュウヨシゴイが飛来。
前日と同様に田んぼ脇の草地へ潜り込むと大きな挙動で動いていることが見て取れました。
草の背丈が高く何をしているのか分かりませんでしたが時々ジャンプするような動きもあり前日には見られなかった行動です。
開けた場所へ出て来ることを願い注視しているとカエルを咥えて登場。
どうやら草地に潜むカエルを捕まえるため動き回っていたようです。
捕まえたカエルを直ぐに飲み込むのかと思いきやカエルを水に浸し洗い始めました。
これが思った以上に長く5分以上洗い続けなかなか飲み込もうとしません。
「そこまで洗う必要があるのか?」と思って見ていたところ、今度は獲物を掲げ見せびらかすような行動を始めました。
暫くカエルを掲げると再び洗い始めるという何とも奇怪な行動。
カエルを捕まえ開けた場所へ出てきてからおよそ10分後、無理矢理といった様子で獲物を丸呑みしました。
獲物のサイズが大きかった為か顔の形が変形しています。
捕食を終えたリュウキュウヨシゴイは再び草むらの中へ。
獲物のサイズ的にも「暫く動きはないだろう」と予想しましたが草がガサガサと揺れ少しずつ奥へと移動している様子が見て取れました。
不意に見えた大きな挙動。
「また捕まえているのか?」と思った矢先、今度は少し小さめのカエルを捕まえて開けた場所へ。
再びカエルを水洗い。
この時はサイズが適当であったのか水洗いを終えると早々に丸呑み。
その直後、通行人の往来を警戒して飛去してしまったことから日程2日目の観察はここまでとしました。
宿泊先へ移動し着替えたところで繁華街へ。
吸い込まれるように居酒屋へ入るとオリオンビールで喉の渇きを潤し地元の料理に舌鼓。
画像はぐるくん(魚)の唐揚げ、アーサー(海藻)のだし巻き卵、ジーマーミ豆腐。
お腹いっぱい食べたところで宿泊先へ戻りましたが、炎天下での観察が続き体力の消耗が激しかったことから翌日もゆっくりと起床することに。
日程3日目は島を縦横無尽に移動。
そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。