前回の続き。
日程3日目は漁船をチャーターして船上からアジサシ類の観察を行いました。
強風の影響により高波の心配があったもののマミジロアジサシとクロアジサシが繁殖するパナリ岩礁帯付近は比較的波が穏やかで飛翔シーンを中心にじっくりと観察。
船を降りた後は観察場所を溜め池に移し成鳥オオクイナの水浴びを見ることができた他、多種多様な野鳥を観察することができ充実の一日となりました。
2022年7月23日
日程4日目は早朝の時間帯からミフウズラを探しに出る予定でしたが、お客さんの要望を受けて再び溜め池の観察地へ。
観察の機会を二度設けたことにより内容としても満足頂けたと思っていましたが、話を伺ったところ光量不足から奥さんの機材では撮影が難しかったそうです。
私としても溜め池では早朝の時間帯に観察を行った経験がなく、夕方とはどの様な違いが見られるのか興味があり良いきかっかけになりました。
宮古島は朝から蒸し暑く、滝のように汗を流しながら溜め池へ足を運んでみたところ...
「く、暗い」
南の地域とあって日の出の時刻が遅く、鬱蒼とした環境の溜め池は真っ暗でした。
しかし時間の経過と共に光量不足の状態が解消されるのは明らか。
椅子に腰掛けのんびりとした気持ちで待ってみることに。
暗がりのなか初めに姿を見せたのはオオクイナの若い個体。
初日の夕方に見られた個体と同一かもしれません。
躊躇なく溜め池へ入ると水浴びを始めました。
一度水浴びを始めると警戒するような事象が発生しない限りじっくりと観察を楽しむことができます。
水浴びを終えると入念に羽繕い。
その様子は動画でも記録。
羽繕いを終えた後は足早に繁みの中へ姿を消しましたが一連の行動は成鳥と同様でした。
警戒心が強いようにも思いますが人前で堂々と水浴びをしたりといまいち性格の掴みにくい鳥と感じます。
こちらは水を飲みに現れた成鳥。
画像を見て分かる通り溜め池で見られるオオクイナはクモの巣にまみれていることがほとんどです。
それだけあちこち動き回っているということでしょうか。
頻繫に水浴びをするはクモの巣を鬱陶しく感じることが影響しているのかもしれません。
観察をしていると頻繫に頭掻きをする様子が見られます。
不意に現れたのはリュウキュウサンコウチョウ。
掲載している画像は明るく写るように補正を掛けていますが、現地の感覚としては黒い何かが動いているようにしか見えません。
動きも早くフレームに入れることは至極困難。
リュウキュウサンコウチョウに関しては観察というよりも一生懸命“撮影した”という言い方が適当であったような...
こちらはたまに姿を見せる尾羽の長い個体。
リュウキュウサンコウチョウに比べ観察・撮影が容易であったのはリュウキュウキビタキ。
光量不足のなかにおいても鮮やかな黄色は際立って見えました。
足環の付いている個体であることから前日に観察できた個体と同一と判明。
こちらはリュウキュウキビタキの幼鳥と思われる個体。
腹部の鱗模様からの判断です。
時間の経過と共に鬱蒼とした溜め池にも陽が射し込むようになり、リュウキュウアカショウビンが入れ替わり立ち代わり見られるようになりました。
しかし宮古島入りをしてから溜め池での観察は三度目ということもあり肉眼で眺めていることがほとんど。
頻繁に見られることでお客さんの気持ちにもだいぶ余裕が出ていたように思います。
そんな私たちに刺激を与えてくれたのはキンバト。
この時は水浴びではなく水飲みのため溜め池へやって来たようでした。
ちょうど陽が射し込む場所で見られたことから翼上面の羽が光輝き美しい光沢を放っています。
間もなくもう1羽現れましたがその見た目に違和感を感じよく見てみたところ幼鳥と判明。
過去の観察を振り返っても幼鳥を見た経験はありませんが、嘴の色も成鳥とは異なり斑に換羽している翼上面を見ても幼鳥と判断して間違いないでしょう。
しかしこちらの個体は死角となる場所へ移動してしてしまい、その後の行動が掴めず見失ってしまいました。
淡々と画像を掲載していますが、この時既に10時を過ぎていたと記憶しています。
夢中になると時間の経過は早いもので当初の予定を遥かにオーバーしていました。
観察の終盤にはアカショウビンが目の前に止まるサプライズもあり、流石にこの時は血圧が急上昇。
あまりにも近過ぎ手前の蔓を躱すことができず...
まだまだ観察を楽しめそうでしたがこのままではキリが無いと11時を以て溜め池での観察を終了としました。
ここで一旦宿へ戻り昼休憩。
高温多湿の状況が続き流石の私も少々バテ気味であったと思います。
お客さんの気遣いがなければペース配分を誤り熱中症になっていたかもしれません。
休憩を挟んだことで気力も戻り午後からは東平安名崎へ。
浜辺に群れるエリグロアジサシとベニアジサシの観察を行いました。
ちょうど飛び立ちのシーンに出会しお客さんは良いシーンを撮影できたようです。
一方私はカメラを構えるタイミングが遅く酷い構図の写真に...
その後エリグロアジサシの飛翔シーンを撮影しましたが、ベニアジサシであればインパクトの強い写真になっていたことでしょう。
浜辺での観察を終えた後はインドハッカを観察。
初日に確認した場所へ立ち寄ってみると周辺にはパンが散らばっており、どなたかがスズメに餌付けしていたようです。
そのおこぼれを狙ってインドハッカが何度も飛来していました。
棚から牡丹餅...もとい、棚からパン。
お陰でインドハッカの雑食具合いを垣間見ることができました。
パンを食べるインドハッカを見ていたところクロサギと共に2羽の白いサギが現れ頭上を通過。
直ぐにクロサギの白色型と分かりましたが残念ながら3羽同時に撮影することは叶わず...
こちらの出会いの方が本当の意味で棚から牡丹餅であったかもしれません。
お客さんにとっては初めて見る白色型で大変喜んでおられました。
この後はリュウキュウヨシゴイをお目当てに池間湿原へ。
時々飛んで来るクロハラアジサシとハジロクロハラアジサシを眺めつつリュウキュウヨシゴイを待ちましたが出る気配全く無し...
忘れた頃にヨシゴイやムラサギサギが見られるという何とも残念な結果に終わってしまいました。
この頃になると陽も傾き加減であったことからサトウキビ畑を巡回してミフウズラを探してみることに。
そこかしこで見られるツバメチドリは相変わらず暑そうにしています。
肝心のミフウズラは見つけることはできても観察する間もなくサトウキビ畑へ隠れてしまったり、距離が遠かったりとなかなか思うようにいきません。
苦し紛れに撮影したのはこちらのペア。
道路を横断する様子を目にしましたが観察と言うには程遠い状態でした。
好条件で観察させてくれる個体はいないものかとサトウキビ畑をウロウロとしていたところ『赤い鳥がいる!』とご主人の声。
「赤い鳥?」
パッと頭に浮かんだのはアカショウビンでしたが生息環境が異なります。
そもそもアカショウビンであればアカショウビンと仰るはずですし、私の位置から確認出来なかったことから特徴を伺ったところ小鳥サイズとのことでした。
脳内図鑑と照合した結果、思い浮かんだのはキンパラ。
しかし私はキンパラを見た経験が無く自信が持てません。
何はともあれ確認をしないことには始まらないことから、ご主人の指示通り車を移動してみたところ...
本当にキンパラがいました。
こちらでは牧草を刈り取る作業をしており、そこから出てくる虫を狙っていたのかもしれません。
お客さんのファインプレーによって初めて見ることができました。
間もなくキンパラの姿は見失ってしまいましたが、牧草を刈り取る作業を見守るギャラリーはキンパラだけではありません。
やはり農作業を行う機械の近くでは必ずと言っていいほどツバメチドリが見られます。
こうした光景を目にするとついつい夢中になってしまい、結果としてはツバメチドリを観察する時間がほとんどでした。
日程4日目は溜め池の観察から始まり場所を転々としながら鳥を探して回りましたが、午後からの観察については今一つといった内容だったと思います。
日程5日目の翌日は早くも最終日。
これまでの観察を振り返り足りなかった部分を補うことが出来ればと考えましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。