2022年8月22日
本日更新する日記はアオバズクの観察記。
日本で見られるフクロウ類のなかでも人間の生活圏において最も身近な存在として知られるアオバズク。
青葉が茂る頃に渡来することから青葉木菟と名付けられたようですが私の住む地域で見られるようになるのは5月の連休頃。
新緑から深緑へと季節は移り変わり青葉が茂る時期と言えます。
渡来当初のアオバズクは日没から間もなくすると盛んに鳴き声を発するようになりますが、自宅近くに渡来する個体は高い場所へ止まっていることが多くなかなか姿を見ることが出来ません。
Web上にはアオバズクの画像が星の数ほど出回っている通り環境によっては容易に見られる場所もあるようですが、私も同じように観察できるようになったのはほんの二年前。
繁殖する地域にお住まいの方から情報を寄せて頂いたことがきっかけでした。
こちらは当時撮影した画像。
観察するにあたって『繁殖場所を公にしない・観察に出入りする者の管理・SNSには画像を掲載しない』という3つの約束を交わしましたがいずれの条件も難しいものではありません。
どれも常識的に考えて当たり前にできることです。
私としても定期的に観察できたらという思いもあって当時案内して頂きましたが、ここからが今季の様子について。
自宅近くで繁殖する個体は5月の連休明けに渡来を確認していましたが、こちらで繁殖する個体は渡来が遅いのか昨年も6月に入ってからの確認だったと記憶しています。
今季の初認は6月19日。
こちらは雄の個体ですがお気に入りの枝に止まっており例年と寸分たがわずといった様子で渡来を確認出来ました。
実際問題いつ渡来しているのか不明ですが今季も同じ場所で見られたことを嬉しく思います。
この後気掛かりになるのは今季も無事に繁殖するのかどうか。
渡来を確認出来てから暫く経った7月10日、何気なく繁殖場所へ立ち寄ってみるといつも同じ枝に止まっているはずのアオバズクが見当たりません。
何か警戒すべきことがあったのか、はたまた繁殖場所を変えてしまったのかと周囲を見渡してみたところ...
少し離れた場所へ移動していました。
巣立ち雛が見られるようになると居場所を変えることもありますが、これまでに移動することは無かったため一体何が影響したのか気になります。
いつも見に来ている訳ではないこともあり理由については分かりませんが随分と見上げる状態になってしまいました。
この日、時間を置いて再び様子を見に来てみるとまた少し離れた場所へ移動していることが判明。
どうやらこの時は直射日光を受けないように場所を移動していたようです。
それから一週間が経過した7月17日、繁殖場所へ足を運んでみるとやはりアオバズクは高い場所に止まっていました。
定位置を変えてしまったという印象です。
この日は情報元である地域にお住まいの方とお話する機会があり『今年は止まっている場所がいつも変わる』と仰っていました。
思い当たる節など少しお話させて頂きましたが繁殖への影響が気になるところ...
アオバズクの巣立ち雛が見られるようになるのは例年7月下旬頃ですが、昨年は想定よりも早く巣立ちを迎えたことで私は巣立ち雛を見ることが出来ませんでした。
地域の方はしっかりと確認できていたこともあり今季に期待していましたが、サンデーバーダーの私はタイミングを逃すと昨年と同じ結果に終わってしまいます。
巣立ちを予想していた週は宮古島の旅行と重なってしまったこともあり、その翌週の7月31日に繁殖場所へ行ってみると...
定位置に止まっているはずのアオバズクが見当たらず、以前止まっていた枝にも姿はありませんでした。
繁殖状況については夜にライトを照らすと一目瞭然ですが、それはしないと決めていたことから実際どのような状況にあったのか分かりません。
繁殖の失敗という言葉が脳裏を過り、念の為にと二年前に巣立ち雛を観察できた杉の木を覗き込んでみたところ...
巣立ち雛を確認。
雛は付かず離れずといった距離に止まっており、数を数えてみると1羽...2羽...3羽...
「今季は3羽生まれたのか」と嬉しく思い記録の為にと其々の個体を撮影しているとそのうちの1羽に異変を感じました。
虫除けのネットを被っていたことで視認性が悪く、少し近寄ってみたところその1羽は初めて見る成鳥の雌であることが判明。
今まで成鳥に関しては雄のみの確認で雌は見ることが出来ずにいました。
確認できたことも然る事乍らその容姿にまた驚き。
頭部に対して目が大きく見え非常にアンバランス。
羽衣も全体的に灰褐色を帯びており別亜種を思わせる見た目に驚きを隠しきれませんでした。
日本で見られるアオバズクは本州で見られる亜種アオバズク、南西諸島で見られる亜種リュウキュウアオバズクの2種ですが今回見ることが出来た雌は一体何者なのでしょう。
単純に個体差の範疇であったとしても今までこの様なアオバズクは見たことがありません。
じっくり観察したいところもありましたがいずれの個体もこちらを気にしている様子。
以前はじっくり観察することに重きを置いていましたが、フクロウ類のなかでもアオバズクは特に観察者を気にするように思え長居は無用と考えるようになりました。
そのため早々に退散。
通常アオバズクの雛は3~4羽生まれますが今季確認できた雛は2羽。
フクロウは繁殖場所の餌の量によって産卵数を調整するという話を耳にしたことがあります。
アオバズクにこの話が当てはまるのか分かりませんが、無精卵が含まれていた可能性も否めません。
いずれにしても今季も地域にお住まいの方のお陰でアオバズクを観察することが出来ました。
本当に感謝の念に堪えません。
また来年も同じように観察できることと雛が無事に成長することを願い本日の観察日記はここまでとします。