2023年12月18日
本日更新する日記は先月19日の観察分から。
大雨と暴風警報が発令されたこの休日、日中は一時的に天候の回復が見込まれていたため早朝から男鹿半島へ繰り出しました。
お目当てとしたのはこの日の前週、ガイド中に見つけたオジロビタキとオオマシコ。
ガイド中はお客さんの要望に応えヤツガシラの観察を優先しましたが、オジロビタキとオオマシコの両種については個人的にじっくり観察したいところでした。
この両種は同地域で越冬する可能性もあり、仮に抜けたとしても別の渡り鳥が見られるかもしれません。
意気揚々と観察地へ出向き、着いて早々オジロビタキを確認。
一方でオオマシコは幾ら探しても見当たらず...
一期一会として前週見ることができただけでも良しとしたいところですが、欲深い私は春までの間どの様に換羽していくのか観察を続けたいところでした。
こうしてオジロビタキの観察に集中することになりましたが、前週に比べると行動範囲が狭くなっており一定程度の縄張りが形成されたようです。
杭や枝に止まり餌となる生き物を探す様子は変わりませんが、必ずと言っていいほど決まった場所へ止まり少し観察しただけでも行動パターンを把握することができました。
しかし採餌の場面は下草の影響によってなかなか見ることができず観察位置の選定に手間取っていたところ...
私が見る個体と明らかに違う場所からオジロビタキの鳴き声が。
この鳴き声が聞こえると観察していた個体に変化が見られ、私の目には警戒しているように感じられました。
鳴き声を頼りに捜索してみたところ別個体を発見。
こちらは下嘴と上尾筒の色からニシオジロビタキと判断。
後日知った話しですがガイドを行った翌々日、こちらの場所で観察した知人がもう1羽のオジロビタキを目にしていたそうです。
少し離れた場所で目撃したそうですが、ニシオジロビタキが縄張りに入ってきたためオジロビタキが警戒したのではないでしょうか。
取っ組み合いということはありませんでしたが、2羽が追いかけ合う場面もありどちらがどちらを追っているかまでは流石に分からず。
こうしたやり取りを眺めていたその時、衝撃的なものを目にしました。
「な...なんだあれ...」
メジロであることは間違いありませんが、この様な羽衣のメジロは見たことがありません。
ここでオジロビタキの観察を中断しメジロの観察に集中しました。
行動としては普段見るメジロと変わりはなく群れで行動していましたが、視界の片隅に映ったメジロも同じような特徴が...
驚いたことにマーブル模様のメジロは1羽だけではなく複数存在することが判明。
羽衣の特徴は各々異なり、赤色の濃淡は個体毎に違いが見られます。
一度藪の奥へ入り見えなくなる時間もありましたが藪から出てくると付近の杉の木へ移動。
杉の木へ潜り込んだ群れは長居することなく私の目の前にあった柿の木へ続々と飛来しました。
熟した柿は野鳥にとって最高のご馳走です。
熟した柿とマーブル模様のメジロは同じような色合いをしており「柿を食い過ぎてそんな色になったのか」と冗談半分に思っていましたがあながち間違いではないかもしれません。
過去の観察日記ではピンク色に発色したユリカモメについて、捕食するカニやエビなどに含まれるカロテノイドが影響することに触れていました。
調べてみたところ柿にもカロテノイドが含まれることが分かり、柿を食べる機会が増えたこの時期、個体によって強く反応が出てしまったのかもしれません。
余談になりますがミカンやカボチャなどカロチンが多く含まれる食べ物を摂り過ぎると柑皮症といって肌が黄色くなってしまいます。
実際にトレーニング系某有名YouTuberがカボチャばかり食べていたところ肌が黄色くなり視聴者に指摘されたことがありました。
人間だけではなく鳥も偏った食生活になると様々な影響が出てしまうのでしょう。
観察中にはマミチャジナイも柿を食べに飛来しましたが、食べ過ぎるとアカハラになってしまうかも...
マーブル模様のメジロに現を抜かしていると、いつの間にかニシオジロビタキは居なくなりオジロビタキは平穏を取り戻しているようでした。
目的としていた採餌の場面は結局最後まで見ることができず...
そうは言ってもニシオジロビタキの登場により普段と違った一面を見ることができたのは運が良かったかもしれません。
残すことができた画像は止まりものばかりになってしまいましたが、可愛いフォルムのオジロビタキだからこそ許されるものです。
日本で見られる小鳥のなかでも最も可愛らしく思えるのはオジロビタキ。
そう思うのは私だけでしょうか。
観察に一段落がつき時刻を確認すると10時過ぎ。
観察が上手くいった場合、正午で切り上げる予定でしたが帰るには少々早過ぎます。
そこでぶらりと定番ポイントを回ってみたところ、1羽の小鳥が地面に降りる姿を目撃。
「怪しい...」
双眼鏡の覗くとシベリアジュリンであることが判明し直ぐに観察を開始しました。
シベリアジュリンは警戒心の強い個体が多く当初は遠巻きからの観察を心掛けましたが、こちらの個体は周囲の状況に鈍感であるように思え風上側へ。
この先回りが功を奏し、私の車へ向かって近寄ってくると一時は撮影不可の距離まで接近する場面も。
暴風が吹き付けるなか地べたを這いつくばるように採餌を続けるシベリアジュリン。
これまでと違った何かが見られないかと期待しましたが、シベリアジュリンにとってはそれどころではなかったようです。
暴風に押し返されながらもひたすらに採餌する様子を眺める時間が続きました。
特に面白味はありませんが採餌の様子は動画でも撮影。
激しい風の音を拾っているため視聴前には音量を下げてください。
採餌に区切りがついたのか吹き飛ばされるように藪へ潜り込みましたが、今回は再び現れることを待つことなく観察を終了。
この後は定番ポイントを何ヵ所か見て回ったものの、これといった出会いに恵まれることなく正午をもって男鹿半島での探鳥を終えました。
本日の観察日記はここまで。