2023年7月3日
本日更新する日記は先々月27日の観察分から。
春の渡りも一段落する5月下旬、例年この頃になると地元へ渡来した夏鳥を観察するため県内各地を巡っています。
この日は好天の予報が出ていたことからコシアカツバメの観察を計画。
記事を更新するにあたり毎度同じ事を書き連ねていますが、秋田県においてコシアカツバメは希少種。
県内でも限られた場所でしか見ることができません。
2015年に繁殖場所を突き止めて以降、継続的に観察を行っていますが気になるのはその年の渡来状況。
年々僅かながら個体数は増えていたものの今季はどうなのか...
期待と不安が入り交じるなか繁殖地へ足を運んでみると目に入ったのは上空を飛び交う沢山のコシアカツバメたち。
同時に電線に止まる個体も見ることができました。
総数にしておよそ50羽ほどだったでしょうか。
渡来当初の数としては過去最高の羽数になります。
スズメによる巣の乗っ取りが横行するようになって以降、思ったほど繁殖が上手くいかなかったのか期待するほど個体数の増加は認められませんでした。
そのため今回この様に一気に数を増やしたのは想定外。
確認できたコシアカツバメが全てこの地で生まれ育った個体なのかは分かりません。
昨年の繁殖率が良好だったのか、それとも越冬地から別の個体群を引き連れて渡来したのか。
真相については不明ですが、今までにない渡来を確認でき「嬉しい」という言葉以外に表現が思いつきませんでした。
それもそのはず。
冒頭でも述べた通り今季の渡来に関しては大きな不安を抱えていました。
その要因として挙げられるのがツバメの渡来状況。
自宅近くで毎年見られていたツバメがほとんど見られなくなり、今季に限っては例年の1/5という驚くべき渡来状況です。
年々減少傾向にあると言われていますが、ここまで急速に数を減らすとは思ってもみなかっただけに私にとっては青天の霹靂。
私の居住地は市街地郊外にあり、周辺には田畑が広がる自然豊かな環境です。
ツバメが繁殖するにあたって条件の良い環境と言えるだけに、ここまで急激な変化を見せるとは思ってもみませんでした。
話はだいぶ逸れてしまいましたが、この様な理由からコシアカツバメの渡来に関してもかなり気を揉んでいたというのが実情です。
思い思いに行動しているコシアカツバメたちを眺めていると、給餌をせがむように翼をパタパタと動かす姿を目撃。
この行動は他の個体にも見られ、こちらの個体に関しては特に要求が強かったように思います。
餌をねだっている訳ではなく何等かの会話をしていたのかもしれません。
この行動に応答するように対峙していた個体も鳴き声を発していましたが、一体どの様な会話をしていたのでしょう。
こうした行動が見られる一方、高空を飛翔している個体が急降下してくることもあり、吸い込まれるように巣の中へ入る様子も見られました。
諸般の事情からそのシーンについての撮影は行いませんでしたが、高度を下げた時を狙い巣へ進入する前段階を撮影。
和名の由来となる赤色の腰が見て取れます。
飛翔速度がツバメよりも遅いため撮影に関して然程苦労することはありません。
私は単焦点の望遠レンズを用いて撮影を行いましたが、ズームレンズであればより撮影は容易でしょう。
次に掲載するのは私に向かって飛んできた場面を撮影したものですがAFが追い付かないためMFでの撮影です。
どのメーカーもミラーレスの販売が主力となった現在、私は未だにレフ機を愛用しています。
しかも使用する機材の連写速度は7コマ/秒と低速。
30コマ/秒という高性能なミラーレスカメラに比べると勝ち目は無いようにも思えますが、何処まで太刀打ちできるかこれからもレフ機で頑張っていく所存です。
飛翔シーンの撮影を楽しんでいると群れの一部が一斉にあらぬ方向へ。
おそらく巣材の採集に行ったものと考えそちらに移動してみたところ...
例年巣材を採集している水溜まりが乾上がっており、コシアカツバメたちはいつもとは違った場所で巣材を集めていました。
水捌けの悪い場所が彼らにとって都合の良い巣材の採集場所となっていましたが、今回のように乾上がってしまったのも気候変動の影響と言えるのかもしれません。
この日は巣材を採集する様子を眺め観察を終えましたが、現在はほとんどの個体が抱卵している頃でしょう。
間もなく卵が孵化することで親鳥となったコシアカツバメたちは給餌のため大変な時期を迎えます。
育雛が順調に進むことを願い、巣立ちを迎える頃に再び観察の機会を作りたいと思います。
おまけの画像。
こちらはコシアカツバメの観察前に見かけたササゴイ。
私が野鳥観察を始めた当時はあちこちで観察できましたが、現在は数を減らす一方です。
当たり前の存在が当たり前でなくなってしまうのは寂しいものですが、その理由を真剣に考えなければいけません。
本日の観察日記はここまで。