2023年9月18日
本日更新する日記はオオジシギの観察記。
今季は7月22日を皮切りに継続してきたオオジシギの観察ですが、これまでの内容を振り返ると質の悪さとしては過去一番でした。
理由として挙げられるのは記録的な猛暑。
観察する人間は勿論のこと鳥にとっても今年の暑さは辛かったことでしょう。
集中力に欠ける観察は証拠写真を撮って終わりという場面が多く、中身の無い時間を過ごしてきましたが今回の日記では撮影できた画像を基に当時の様子を振り返りたい思います。
先ずは7月30日の観察分から。
連日のように熱帯夜が続き早朝から茹だる暑さだったこの日、田んぼを巡回して確認できたのはたったの4羽。
異常な高温が祟ったのか、ほとんどの個体は日陰となる枝豆畑の中へ隠れているようでした。
表立って見られた4羽のうち比較的近い距離で見られたのはこちらの個体。
逆光位置からの観察は条件が悪く普段であれば避けているところ。
しかしこの日は選んで観察できるほどの余裕も無く...
畔の縁を突っつくように採餌するオオジシギは立ち止まると水浴びを開始。
水浴びはおよそ5分ほど続いたでしょうか。
その間、結構な枚数を撮影しましたが陽炎の影響からほとんどの写真はボツ。
今季はこうしたパターンが多く写真の出来映えは今一つどころか散々な結果です。
水浴びを終えると水気を切るように全身を振るわせました。
この直後に羽ばたき。
腋羽を見ることで非タシギであることは明確ですが、確認したいのは外側尾羽。
水浴び後に見られる羽繕いの様子から決定的場面が見られないか注視していると辛うじて外側尾羽を見ることができました。
紛れもなくオオジシギの特徴を示しており満足感を得られた瞬間です。
しかし満足感が持続することはありません。
満足感の先にある貪欲さが私を待っており、更に良い条件を求めて探鳥を再開すると...
身を屈めこちらの様子を伺っているオオジシギを発見。
ほんの一瞬視界に入っただけで自信はありませんでしたが、私の見間違えではありませんでした。
過ぎ去ったはずの車が後退してきたことで相当なプレッシャーがあったことでしょう。
これ以上のプレッシャーを与えないよう不用意な動きは見せず様子を伺っていると徐々に警戒心が解けてきた様子。
少しずつ身体を起こし全身が見えたものの完全に警戒心が解けた訳ではなく暫く膠着状態が続きました。
私が警戒すべき対象であるのか見定めていたのかもしれません。
警戒心が解けると小刻みに身体を動かし採餌を始めたオオジシギ。
ジグザクに動きながら土壌に潜むミミズを引っ張り出していましたが、ピタリと動きを止め上空を見上げていました。
この時、空を飛んでいたのは民航機。
どんな感情で眺めていたのか。
民航機の通過後、再び採餌を始めましたが徐々に遠退いてしまったためこの日の観察はここまで。
単に距離が近いというだけで“美味しい”場面を見ることはできませんでした。
続いて8月6日の観察分から。
ケアンズ探鳥旅行を2日後に控えたこの日、当初は準備の為に観察をお休みする予定でしたが一時間に限定して観察の時間を設けることに。
田んぼを巡回すると前週と同じ場所でオオジシギを発見。
やはり逆光位置からの観察になりましたが羽衣の特徴から別個体であることが判明。
間もなく羽繕いの様子が見られたものの画像はモヤモヤ...
こちらは画像を拡大。
羽繕いを終えると一度畔の上に佇みそのまま枝豆畑の中へ姿を消してしまいました。
一時間限定の観察は流石に短すぎるようにも思いましたが、額からは汗が流れ落ち車のシートが湿り気を帯びるほど。
これ以上の観察は旅行に支障を来すと考え早々に退散しました。
8月20日は帰国してから初めての週末。
ケアンズの涼しい気候に慣らされた反動からか帰国後の暑さには本当に参りました。
観察に出ることを躊躇うほどの暑さでしたがオオジシギの観察は継続したいという謎の義務感からいつもの田んぼへ。
しかしこの日は発見すらできないまま時間だけが過ぎていき、やっとの思いで見つけたのはこちらの個体。
発見して間もなく稲穂の中へ姿を消し、暫くすると再び畔へ。
この行動を何度か繰り返し少しずつ距離は縮まりましたが「もう少し」というところで引き返してしまいました。
稲穂の中へ姿を消したオオジシギは出てくる気配も無く、暑さを逃れ日陰で休んでいたのかもしれません。
旅行と仕事の疲れが相俟っていたこともあり、これ以上粘ったところで良い結果は得られないだろうと判断。
この日も早めに観察を切り上げました。
8月第4週は連休でしたが、これまでオオジシギの観察が芳しくなかったことから気分転換にとシギチとニュウナイスズメを観察。
その翌週、9月3日の観察ではタシギの数が優勢となりオオジシギの個体数はだいぶ減ったというのが第一印象。
数個体確認できたうち、観察対象としたのはこちらの個体。
離れていた距離は時間の経過と共に縮まり、今季観察できた個体のなかで最も警戒心を感じさせない個体でした。
採餌と休憩を繰り返し、時には伸びの姿を見せてくれることも。
最接近した際には呼吸による胸の収縮が分かるほど。
こうした場面を見たいが為に幾度となく田んぼを巡回しましたが、9月に入り“ようやく”というのが正直な感想です。
おまけ的な画像になってしまいますが、この日はチュウジシギも見ることができました。
但しこちらの個体は外側尾羽を確認できなかったため羽衣や身体のバランスから“推定”チュウジシギとなります。
本来であればチュウジシギも含め8月中は沢山のオオジシギを観察するはずでしたが、今年の暑さにはお手上げでした。
現在は稲刈りの最盛期を迎えていますが、稲刈り後の田んぼではタシギの観察を楽しむことができる為、今後はそちらにシフトしていく予定です。
本日の観察日記はここまで。