2024年10月21日
本日更新の日記は9月22日の観察から。
活発な秋雨前線の影響で能登半島地震の影響が大きかった石川県輪島市や玖珠市で記録的豪雨となった翌日、私の住む秋田市も午前を中心に降雨が続きました。
前日からの大雨により河川は増水。
自宅近くの農地も一部が冠水しており、こうした状況から「前週とは違った観察ができるのでは」と田んぼを巡回してみたところトウネンの群れがそこかしこに。
渡りの途中に天候が悪化したためこちらの田んぼへ立ち寄ったのかもしれません。
前週は完全に干上がっていた田んぼも潤いを取り戻し、トウネンたちにとっては良い餌場になっていたようです。
発見当初は40羽ほどの小規模な群れも観察中には別の群れが合流し100羽超の規模に膨らみましたが、隣接する田んぼでも50〜100羽程度の群れが見られ総数としては500羽を超していたでしょうか。
田んぼで観察する機会が多くなった私にとってトウネンの群れを目にしたのは久しぶり。
どの個体も忙しなく動き回り稲の付け根を頻りに啄んでいましたが、双眼鏡越しにも撮影した画像を拡大しても何を捕食しているのか見て取れず…
最後まで何を餌としているのか分からなかったものの思いがけずトウネンを観察することができ非常に嬉しく思いました。
その他にもシギチが入っているのではと田んぼを見て回ると複数羽のタカブシギを発見。
しかし驚くほどの警戒心を見せ証拠写真を撮るのが精一杯。
何故こんなにも警戒心が強いのか...
タカブシギの観察に手を焼いていると聞こえてきたのはムネアカタヒバリの鳴き声でした。
時期的に少々早いと思いましたが聞き間違いではありません。
鳴き声を頼りに捜索を始めると草の生い茂った農道にはタシギの姿が。
このまま車を進めると飛ばしてしまうのは火を見るより明らか。
ここは車を後退させることが無難と考え周囲の安全確認したところ目に飛び込んできたのは農道脇の草地に潜むタシギの群れでした。
注意深く車を走らせていたつもりがこの時まで全く気付かず...
タシギは群れることが多いため連鎖的な発見に繋がる機会が往々にしてあります。
おそらくこの時も私の目に映らないだけで他にも潜んでいる個体が多かったことでしょう。
じっくり観察したいところでしたが環境が環境なだけに良い観察はできないものと考え慎重に車を後退させました。
別の農道を進みムネアカタヒバリを探しましたが、稲刈りの終わった田んぼにもタシギが沢山。
前週の苦労が嘘のようです。
これもまた大雨の影響かもしれません。
比較的距離の近かったこちらの個体に狙いを定め少しだけ観察の時間を設けることに。
タシギとしては珍しく畔の縁を突っつきミミズを捕食する場面を見ることができました。
その後もムネアカタヒバリを探して田んぼを巡回したものの鳴き声が聞こえなくなり遂にお手上げ...
それならばと観察対象に選んだのは間近に見ることができたタシギ。
観察を始めて間もなく伸びを始め活発に動くのかと思いきや…
睡眠の姿勢。
睡眠中も姿勢を崩さないまま体を捻り周囲の様子を確認しているようでしたが、全くもって起きる気配が感じられません。
睡眠の姿勢を取ってから一時間ほど経過した頃だったでしょうか。
遠巻きにタシギの群れが飛ぶ姿を目撃。
この頃は全国的にタカの渡りを観察している方が多く、あちこちでタカ柱が見られていたことでしょう。
私に至ってはタカ柱ならぬタシギ柱を見て喜んでいると、視界に飛び込んできたのは3羽のハチクマ。
天気が悪かったためかハチクマは低空を飛び頭上を通過。
このハチクマに驚いたのか寝ていたはずのタシギは刈り取られた稲の陰に身を潜め上空を気にしているようでした。
場所を移動してからも全く動く気配がなく私は根負け。
間近で見ることができていただけに後ろ髪を引かれる思いでしたが、活発に動く個体を観察したいと考え再び田んぼを見て回ると単独のトウネンを発見。
こちらのトウネン、よく見てみると右足にはフラッグが2本、左足にはメタルリングが付けられており標識個体でした。
メタルリングには二行の刻印が入っており一行目にはKS39833、二行目にはMOSKVAの文字を読み取ることに成功。
刻印からロシアでバンディングされた個体であることは想像できましたが詳細について知りたいと思い、山階鳥類研究所に報告を入れたものの未だ返信はありません。
残念ながら素性について知ることはできませんでしてが、何よりも気になったのは右足に付けられたフラッグ。
歩く度にフラッグが翼に干渉し嫌がる様子が見られました。
標識調査は生態を知る上で大事なことかもしれません。
しかし付けるからには体長に見合った物を選び負担は最小限に抑えるべきだと思うのですが…
標識個体を観察していると今季初認となる7羽のマガンが上空を通過し南下していく様子が見られました。
おそらく宮城県の伊豆沼を目指していた個体群でしょう。
この日は15℃程度で推移したこともあり季節の歩みを肌で感じた一日に。
翌日の秋分の日も農地で観察を行いましたが、これまでとは違った場面が多く楽しい観察をすることができました。
そちらの様子は次週更新の日記へ続きます。
本日の観察日記はここまで。