2024年11月18日
本日更新の日記は10月14日の観察から。
秋晴れの空に恵まれたスポーツの日。
渡りが活発になるこの時期は心躍るような出会いに期待して毎年探鳥を重ねていますが、この日は然程期待を持てませんでした。
その理由となったのは連日続いていた好天。
渡り鳥にとっては都合の良いお天気であってもバードウォッチャーにとっては不都合なお天気。
渡り鳥のルート下にある我が家では夜間に移動する鳥たちを鳴き声から知ることができ、この頃は好天が手伝い足早に移動している様子が伺えました。
自宅近くの農地へ出向いてみると予想通り見事に藻抜けの殻。
こちらのタシギが唯一の救い。
農地を巡回していると聞こえてきたのはコハクチョウの鳴き声。
群れのなかにはマガンの姿も。
この頃は夜通しコハクチョウの鳴き声が聞こえる日もあり、頭上を通過する群れを見送り季節の歩みを感じていましたが環境を変えたところで期待の鳥は見つかりそうにもありません。
渡り鳥がダメならと気分転換にヤマセミの観察へ出かけてみたものの…
何処を回っても見当たらず鳴き声すら確認できませんでした。
途方に暮れる私の目の前に現れたのは二羽のカワガラス。
鳥に飢えていた私にとって鳥神様が降臨したかのようです。
カワガラスは普通種とは言え観察の機会が多い鳥ではありません。
そこでこの日は腰を据えてじっくりと観察してみることに。
観察を始めて間もなく目にしたのは不可解な行動。
こちらの画像からは分かり辛いかもしれませんがオレンジ色の物体を咥えています。
オレンジ色の物体を水面へ浸すと次の瞬間には口元から消えていました。
カラスをしっかりと観察している方であればご存知かと思いますが、カラスは硬いと感じた食べ物を水に浸して柔らかくするという知能を持っています。
これはオウム科の鳥にも見られる行動ですが、カワガラスも同じ行動をするものかと首を傾げる場面でした。
頻りに尾羽を動かしながら移動を繰り返すと水面の中へ。
この時の姿をよく見ると撥水性の高さを感じさせられます。
まるで水がカワガラスを避けているかのよう。
この撥水性があるからこそ流れが急な場所であっても意のままに泳げるのかもしれません。
石の上へ戻った時には水生昆虫を咥えていましたが、光線の状態が悪くどの様な生き物を捕食していたのか見て取ることができず…
この時、改めて感じさせられたのは生息環境にマッチした保護色。
全身がチョコレート色の羽衣をしているため体長の割には目立ちません。
そのため大きな動きを見せなければ近くに居ても見落としてしまうこともあるでしょう。
行動としても類のない動きを見せることがあり、観察をしていて面白い鳥だと感じます。
この時は上手く撮影できませんでしたが潜水したまま川底を歩き餌となる生き物を探す様子が見られました。
足の力が強くなくてはできない芸当。
流体力学の面から考えると水の押し下げる効果を利用しているものと思いますが、撥水性の高さも一つの要因となっているのかもしれません。
潜水している際には空気を身に纏うため白っぽく見え、その様子を上手く撮影できないのは非常に残念でした。
今になって考えると動画の方が良かったかも…
撮影した画像は石に止まっている姿や泳いでいる姿がほとんど。
生態に迫る写真を残せず、結果だけを見ると単に写真を撮って終わった感じが否めません。
観察を始めて二時間が経過した頃『ビィーッ』と声を上げて1羽が飛ぶと、もう1羽も釣られて上流側へ。
暫く待ってみたものの元居た場所へ戻ってくる気配はなく、この日の観察はここで終了。
欲を言えばこれまでに目にしたことのないような行動を見られたら良かったのですが、空振りで終わることなく多少なりとも観察欲を満たしてくれたカワガラスに感謝です。
カワガラスの観察から約一ヶ月が経過して現在は冬鳥が続々と到着。
ハクガンを含めガン・カモ類が多く見られるようになり例年渡来しているオオワシも無事に到着しました。
秋田は間もなく本格的な冬シーズンに入りますが、今季も良い出会いに恵まれることを期待しています。
本日の観察日記はここまで。