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2024年11月4日

 

 

 

本日更新の日記は9月28〜29日の観察から。

 

両日共に秋晴れだったこの週末、28日は遅れ馳せながらタカの渡りの観察へ出かけました。

時期的に考えもハイタカ属の観察が主となるためハチクマやサシバを見ることができれば御の字です。

 

観察定点へ向かう途中、突然道路を横切ったのはニホンジカ。

 

 

私が目にしたのは数年ぶりのことでしたが秋田でも着実に個体数が増えているようです。

 

他県ではニホンジカによる食害が深刻な問題になっているようですが秋田も時間の問題といったところでしょうか。

 

 

定点へ着いて間もなく目にしたのはハリオアマツバメ。

 

 

複数の個体が飛んでいたもののファインダーに捉えることができたのはこの1羽のみ。

 

ハリオアマツバメの姿が見えなくなって30分ほど経った頃、2羽のハイタカが上空を通過。

 

 

ハイタカが渡った直後、この山に棲むクマタカが姿を見せこちら側へ接近してきました。

 

 

翼を窄めると一気に加速。

 

 

このスタイルになってから止まり木へ到達するまではほんの一瞬の出来事。

止まり木で羽を休めるクマタカは全く動く気配を見せず…

 

その間にタカの渡りを観察できたら良かったのですが、鳴かず飛ばずの時間が続き待ち惚け。

 

不意に別個体のクマタカが姿を見せると長時間に渡り上昇と下降を繰り返していました。

 

 

若い個体であったため狩りの訓練をしているのだろうかと想像を膨らませましたが確信は持てません。

 

 

謎の行動に注目しているとハチクマの幼鳥が現れハイタカに続いてこの日3羽目の渡り。

 

 

上昇気流を捉えて高度を稼ごうとしていたところクマタカが反応して急降下。

 

 

恐れ慄いたのかハチクマは旋回を止め一目散に南の方角へ姿を消しました。

 

間もなく止まり木からクマタカが飛び立つと木々の隙間を縫うように飛翔する場面を目撃。

恐ろしいまでの飛翔能力を見せつけられ森の王者たる由縁をまざまざと感じましたが、これ以降タカの渡りはさっぱり…

 

結果的にこの日確認できた渡りはハイタカ2羽、ハチクマ1羽という残念なものとなってしまいました。

 

9月末ということもあり仕方ないと言えば仕方のない結果ですが、もう少しハイタカやツミが飛んでくれても良かったのでは…

 

 

翌日の29日は気分を変えて自宅近くの農耕地へ。

 

 

7月下旬以降、農地ではジシギの観察を継続してきましたが、この日のお目当てはムネアカタヒバリ。

 

前々回の観察から鳴き声だけは確認できていたものの姿を見れずに終わっており今回は是が非でも見つけたいところ。

 

難航を覚悟のうえ農地へ足を運ぶと自分でも驚くほどあっさりと発見。

 

 

昨年の観察と同様、二番穂の間を縫うように移動しながら採餌していました。

 

距離が離れていることに加えて視認性も悪く、生憎の条件であったものの毎年この時期に本県を通過していることが裏付けられたと思います。

 

 

これまで本県においては珍鳥扱いだったムネアカタヒバリも今後は定期的に観察できそうな予感。

嘗てのように鼻息を荒くして観察することはなくなるかもしれません。

 

 

採餌中には鳴き声を発することが多く仲間同士で何らかのコミュニケーションを図っているようでした。

 

少しでも距離が縮まればと思いながら観察を続けていたところ10羽程の群れが付近の田んぼへ飛来。

 

そちらは稲刈り直後の田んぼであったこともあり、観察の条件が多少なりとも良くなるのではと移動したところ距離・視認性共に好条件で観察することができました。

 

 

ほとんどの個体は冬羽に換羽していたものの、なかには夏羽を残す個体も。

 

 

個体毎の特徴を観察するため双眼鏡を覗いていると雑草が生い茂った畔の縁にセジロタヒバリと思わしき個体を発見しました。

もし私の目が耄碌していなければ秋田県初記録になるはずです。

 

先ずは証拠写真をとカメラを構えた瞬間…

 

 

別の個体群が上空を通過。

これに釣られたのか観察していた個体群は一斉に飛び立ってしまいました。

 

呆然とする私。

あと数秒早く行動していたら証拠写真を残すことができたでしょう。

 

しかし何を言ったところで時間は戻りません。

見失ったセジロタヒバリを探すため農地を巡回するとムネアカタヒバリの群れがあちこちに。

 

 

5〜10羽ほどの群れが分散しており、総数としては60〜70羽ほど入っていたようです。

 

こちらはやけに褐色みの強いタヒバリ。

 

 

この様にムネアカタヒバリの群れには別種も混ざっていることが判明し期待を膨らませました。

 

しかし期待と裏腹に幾ら農地を巡回してもセジロタヒバリを見つけることはできず...

 

心が折れかけた頃、ふと目にしたのは収穫の終わった枝豆畑に群れるハクセキレイ。

 

 

同じセキレイ科の鳥とあってこちらへ飛来するかもしれません。

 

探し回るより待つことが得策と考え暫く様子を伺っていると『チィーッ』と金属質に感じる鳴き声を発しながらムネアカタヒバリの群れが飛来しました。

 

動きのある物に対し警戒心が強いため移動せずに留まっていると徐々にこちら側へ。

 

 

真っ先に近寄ってきたこちらの個体、全体的にオリーブ褐色みを帯びておりマキバタヒバリを思わせました。

 

しかし羽の特徴は冬羽のムネアカタヒバリ。

羽色の違和感は個体差の範疇といったところでしょうか。

 

 

採餌の様子を間近に見ていると虫だけではなく雑草の種子も食べていることが分かり、ようやく観察らしい観察をすることができました。

 

 

そして大本命のセジロタヒバリ。

やっと見つけたと思ったのですが...

 

 

横から見た印象はセジロタヒバリに酷似しているものの淡色の眉斑が認められます。

 

画像から見て取ることができませんがセジロタヒバリほど背には明瞭な白色線が見られず嘴の色も異なり、こちらも冬羽のムネアカタヒバリでした。

 

参考までに嘗て沖縄本島で見つけたセジロタヒバリの画像がこちら。

 

 

マキバタヒバリを思わせる個体に続きセジロタヒバリを思わせる個体と一時は心拍数が上昇したものの世の中そんなに甘くありません。

 

間もなく近寄ってきたのは夏羽の残るムネアカタヒバリ。

 

 

特徴が特徴なだけにこちらは一目瞭然。

 

誰が見ても誤同定することはないでしょう。

 

 

冬羽のタヒバリ類は似たような特徴を持つ種が多く、同定できない場合は鳴き声を聞くことが一番かもしれません。

 

私自身、タヒバリとムネアカタヒバリの違いを覚えることによりこうして地元でもムネアカタヒバリを観察できるようになりました。

 

 

どの個体も活発に動き回り採餌中には盛んに鳴き声を発します。

 

 

また飛翔時にも鳴き声を発するためムネアカタヒバリは鳴き声を発する頻度が多いのかもしれません。

 

 

畑に群れが飛来して以降、存分に観察を楽しむことができたものの、大本命のセジロタヒバリは確認できずに終わりました。

 

しかし今後観察を継続することにより本県においてセジロタヒバリやマキバタヒバリの記録を残せる日が訪れるかも...

 

地道な作業になりますが今後も注意深く観察を続けたいと思います。

 

 

 

今日のおまけ。

 

当ホームページの野鳥観察日記はご覧頂いている通り、観察から更新まで約一ヶ月のタイムラグが生じております。

 

そのため訪問頂く方にとって何ら有益な情報はありませんが、季節柄ハクガンに関するアクセスが増加しているため今回はリアルタイムの情報を掲載。

 

昨日の観察において(11月3日)確認できたハクガンの数は238羽。

アオハクガンは中間型の個体が1羽の確認でした。

 

 

今後数を増やすものと思いますが、積雪量によっては山形県、宮城県、新潟県へ移動することも予想されます。

 

秋田へ遠征を予定されている方はこの点にご注意を。

 

 

本日の観察日記はここまで。