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2024年12月23日

 

 

 

本日更新の日記は11月30〜12月1日の観察から。

 

この週末はハクガンを観察したいという友人が東京から秋田へ。

久しぶりに顔を合わせる友人と二日間観察を共にしましたが色々と思わされることの多い週末となりました。

 

11月30日は台風並みの暴風が吹き荒れるとの予報に不安を抱えながらの出発。

 

断続的に降る雨も相俟って観察には生憎の空模様でしたが、ハクガンの越冬地となっている大潟村へ入ると田んぼにハクチョウたちが見られるようになりコハクチョウとオオハクチョウを暫し観察。

 

ハクチョウの観察を終えた後は毎年渡来しているオオワシの様子を見に行ってみるといつもの止まり木に。

 

 

昨季は記録的な暖冬でしたが、今季はどのような冬になるのでしょう。

 

数年前にはハクチョウが飢えて落鳥するほどの豪雪になったこともあり、オオワシは無事だろうかと気を揉んだこともありました。

 

今季は鳥インフルエンザが大流行の兆しもあり心配事が絶えません。

 

 

オオワシを観察していると霰混じりの雨が振り出し慌てて車へ避難。

降ってきたかと思えば青空が覗いたりと目まぐるしく天候は変わり、この時期らしいお天気に翻弄されながらの観察でした。

 

オオワシの観察を終えた後はハクガンを探しながらマガンやヒシクイを観察。

 

 

荒れ模様の影響からか大潟村は例年に比べ閑散とした様子でしたが、然程苦労することなくハクガンの群れを発見。

 

3カ所に分散した群れは其々200羽、計600羽ほどのハクガンが見られました。

 

群れのなかにはアオハクガンの姿も。

こちらは拡大画像。

 

 

間もなく群れは飛び立ったものの風が強く思うように飛べない様子。

 

 

向かい風に逆らいながらも一生懸命羽ばたくハクガンたち。

 

 

鳥の飛翔シーンを撮影するにあたり大抵の方は青空を望むのではないでしょうか。

 

ハクガンやハクチョウに限ってですが私は鉛色、若しくは真っ暗な空を好みます。

 

 

冬の日本海側、特に秋田県は日照時間が短いことで知られていますが、秋田らしい空を飛ぶハクガンやハクチョウは美しいと言う他ありません。

 

白い鳥だからこそ真っ黒な空に映えると言えば理解してもらえるでしょうか。

 

飛び立ったハクガンの群れは間もなく降下。

遠くへ飛ぶことはなく最寄りの群れに合流を始めました。

 

 

この時に確認できたアオハクガンは2羽。

以前確認した中間型の個体は見られず、この時に見られたのはいずれも青色型。

 

今季は一体何羽のアオハクガンが渡来しているのでしょう。

 

 

採餌の様子を観察していると一時的に陽射しが届き、飛び立ちのシーンでは一段とコントラストが強くなりました。

 

 

肉眼で見るものとは異なりますが、これもまた写真の面白さなのかもしれません。

 

 

目まぐるしく変わるこの時期だからこそ、虹とのコラボレーションを見ることもできます。

 

今回はうっすら出現した虹を取り込めるよう撮影しましたが、自然現象+野生の生き物が相手とあって思い通りにはいきません。

 

 

それでも個人的にはこれ以上ないロケーションのなか観察・撮影を楽しむことができ、友人も満足のいく観察ができたようでした。

 

 

お目当てのハクガンを観察した後は一路男鹿半島へ。

秋の渡りの時期には空振り続きだったこともあり「期待しないで」と前置きをしたうえで男鹿半島へ足を伸ばしてみると…

 

気味が悪いほど鳥が見当たらない。

 

例年であれば数はどうであれ車を走らせるとホオジロが横切る姿を目にします。

しかしこの日ほ藪を動くホオジロを1羽見たのみ。

 

当たり前に見られるはずのスズメさえ見られず唯一観察したのは水浴びをしていたシノリガモ。

 

 

今季はどの地域でも鳥が少ないという話を耳にしますが、友人もここまでとは思っていなかったのか言葉を失っている様子でした。

 

観察に手詰まり感を覚え何処へ行こうか迷っていたところ、友人よりシジュウカラガンのリクエストがあり再び大潟村へ。

 

大潟村へ着いて間もなく目にしたのは朝方に観察したオオワシの姿。

 

 

強風のなか力強く飛ぶ様子に友人も歓喜。

 

 

無駄に飛ぶことのないオオワシをこうして見ることができたのは運が良かったと言えるでしょう。

 

 

野次馬的に現れたのか、この時にはオオワシの若い個体も飛翔。

 

 

大型猛禽が飛ぶことによりガン・カモ類はパニックを起こしたかのように飛び交い冬鳥の日常を垣間見ることができました。

 

道すがら見られるホオジロガモ・カワアイサ・ミコアイサ・カンムリカイツブリ・チュウヒも併せて観察。

 

リクエストにあったシジュウカラガンを探して回るとマガンとヒシクイの群れに混ざる1羽を見つけることができホッと一安心。

 

 

この時偶然にもハクガンの群れが次々に飛来。

 

 

何処からともなく集結する群れを雪化粧した山並み背景に撮影しましたが、ハクガンの着陸する姿はとても優雅。

 

 

断続的に群れが飛来したこともあり、縦構図で撮ってみたりと友人も撮影を楽しんでいたようです。

 

 

最終的に群れの規模は1000羽以上に膨らみ今季渡来している個体が全て集まったのかもしれません。

 

 

塒入りに備えて一斉に飛び立つまで待ってみることにしましたが、嵐のような天候に変わると期待に反し10羽単位で飛び立ち始めました。

 

飛び立った群れが移動した距離は50mほど。

不可解な行動に首を傾げましたが、角度を変えて見たところ葦に身を隠していたことが判明。

 

吹き曝しでは辛いと判断し遮蔽物のある場所へ移動したのでしょう。

こうした行動に友人はとても感心していた様子。

 

 

辺りはだいぶ暗くなっていたこともあり、この日の観察はここまでとして夕食は友人お気に入りの寿司屋へ。

 


 

美味しい寿司を頬張りながら翌日の観察について相談した結果、小鳥を見たいというリクエストから翌日は私の自宅周辺で観察を行うことに。

 

 

2024年12月1日

 

 

この日は回復傾向の予報が出ていたものの依然として風の強い状態が続いていました。

 

友人のリクエストに少なからず影響も考えられましたが、1種でも嬉しい出会いがあればと自宅近くの雑木林へ行って見たところ…

 

 

姿どころか鳴き声さえ聞こえず。

道を横切るホオジロはおろかスズメさえ見当たりません。

 

まるで世紀末を思わせる様子に友人も絶句。

将来的にどうなってしまうのかと暗澹たる気持ちで雑木林を離れようとしたところ、ようやくツグミを2羽確認。

 

雑木林での探鳥が思うようにいかなかったこともあり農地ではまるで珍鳥を見るかの如くスズメを撮影しました。

 

 

このスズメもまた数を減らしており、近い将来簡単に見られなくなるかもしれません。

 

大袈裟に聞こえるかもしれませんが、今後5年のうちにバードウォッチングという趣味は難しいものになるだろうと考えています。

 

何処を見ても小鳥が少ないという状況から友人より『ヤマセミを見たい』というリクエストがあり生息地域を探してみたものの簡単には見つからず…

 

 

しかし河川に沿って移動しているとカシラダカの群れが見られるようになり安堵の気持ちに胸を撫で下ろしました。

 

 

鳥の気配を感じられることがこんなにも嬉しいと思ったことは未だ嘗てありません。

 

不意に視界へ飛び込んできた白い飛翔体。

友人お目当てのヤマセミを発見。

 

 

しかしヤマセミは死角となる場所へ止まってしまい様子を伺い知ることができず。

 

開けた場所へ移動するまで待とうかとも考えましたが、周辺の地形をよく見ると川の対岸側に続く農道があることに気付きゆっくり車を走らせると…

 

 

証拠写真を撮影して間もなくヤマセミは飛去。

 

 

私の車に反応したのか、たまたま移動するタイミングだったのかは分かりませんが友人は撮影に失敗したとか。

 

付近は藪が広がりヤマセミの動向を掴めなかったことから下手に動かず待機すること約30分、真正面の位置にヤマセミが飛来。

 

 

こちらの場所には随分と長い時間止まっていたこともあり、ゆっくりと観察することができました。

友人にとっては久しぶりの観察になったそうです。

 

その後ヤマセミは何度か移動を繰り返していると別個体が飛来。

 

 

2羽のヤマセミを確認して間もなく、友人が水面をスレスレに飛んでいく別個体を目撃。

3羽のヤマセミを見ることができ興奮する友人の様子が印象的でした。

 

結局この日は友人が帰京するまでヤマセミの観察に没頭しましたが、内容としては空振りと紙一重の内容だったと思います。

 

鳥が少ない状態は現在も続いており、明るい材料の無い未来に不安しかありません。

 

将来、日本はどのようになってしまうのでしょうか…

 

 

本日の観察日記はここまで。

 

※次週更新の日記は今年一年を振り返る総集編となります。