2024年12月9日
本日更新の日記は11月3〜4日の観察から。
地元で渡り鳥の観察をするにあたり文化の日は特異日と位置付けていましたが、統計上というデータは活かせなくなりつつあるようです。
その要因として挙げられるのは気候変動。
温暖化の影響は如実に表れており、普通種でさえ観察が難しくなってきた今日この頃。
繁殖期に大雨が降ったりと年々災害が多くなっていますがこれは日本に限ったことではありません。
報道にもある通り海外でも災害が多発。
繁殖の失敗、生息環境の悪化に加えて異常なペースで進む温暖化。
世界的に鳥類の数は減少の一途を辿っています。
悪い材料ばかり揃っているせいか文化の日の探鳥はこれまでにないほど散々な結果に…
いわゆる珍鳥と言われる鳥は見当たらず、ホオジロ・カシラダカ・ミヤマホオジロを所々で見かけた程度。
冒頭、難しい語り口調になってしまいましたが素直な表現に言い変えると「やってらんねぇ」の一言。
男鹿半島まで車を走らせ、蓋を開けてみればガソリンを撒いただけのようなもの。
『オメーの行動が温暖化を助長している』と言われたらその通り。
返す言葉も見つかりません。
ガソリンが高値で推移しているだけにダメージは計り知れず、空振りだけは避けたいと男鹿半島から一路大潟村へ。
本来、大潟村は冬鳥が揃い踏みした頃を見計らって行く予定だっただけに誠に不本意。
己の観察欲を満たすだけに大潟村をひた走り、渡来して間もないハクガンを探して回りました。
渡来当初ということもあり、ハクガンが餌を採っていた場所は想定の範囲内。
ざっと見て200羽ほど確認できましたが、ヒシクイとマガンの群れに混ざっており迂闊に近付くことができません。
不用意に距離を縮めると群れは一斉に飛び立ってしまいます。
しかしこの群れにはハクチョウも混ざっていたのが不幸中の幸い。
ハクチョウの警戒心の緩さを利用すると間近に観察できることもあるため、暫くは刺激のないよう遠巻きからの観察を続け頃合いを見計らって慎重に車を動かしました。
この時に何処からともなくシジュウカラガンが4羽飛来。
じわりじわり距離を縮めシジュウカラガンを観察しているとヒシクイが首を上げ警戒している様子。
この時私は車を動かしていなかったため何を警戒したのかと周囲を見渡したところ地面スレスレを飛ぶハヤブサを目撃。
ハヤブサは後方に回り込むと急旋回。
同時に大きな羽音を立ててヒシクイが飛び立ったため慌ててカメラを構えると…
一斉に飛び立つと思いきや、この時に飛び立ったのは手前側のヒシクイのみ。
ハヤブサのお陰でハクガンが観察し易い状態に。
なぞるようにハクガンの群れをカウントしてみると236羽を確認できましたが幼鳥が極端に少ないように思います。
この日の観察から約一ヶ月が経過し現在は大きな群れも見られるようになりましたが、やはり今季は幼鳥の数が少なく繁殖地において何らかのトラブルがあったのかもしれません。
繁殖の失敗は何が原因なのか…
様々を思いを巡らせていると2羽のハクガンが飛来。
群れに合流するまでの一部始終を撮影した後はアオハクガンの観察に集中しました。
この日の様子については速報として11月4日付けの日記に掲載していましたが、アオハクガンとしているこちらの個体は中間型と判断してよいでしょう。
これまでに観察してきたアオハクガン(成鳥)は主に頭部が白く、全体的に暗青灰色の特徴を持っていましたが今回観察できた個体は上面の羽衣が青灰色で下面は羽衣は白色であることが見て取れます。
こうした特徴から中間型と判断しましたが、私の知る限り本県に中間型の個体が渡来したという話は耳にしたことがありません。
これまで中間型という言葉を用いていますが、近年継続的に観察できるようになったアオハクガンはハクガンの青色型。
アオハクガンについて亜種と思われている方もいらっしゃるようですが、羽の色を決定する遺伝子の違いにより生まれる個体を指します。
つまりハクガンであることに変わりはなく俗称に過ぎません。
例えて言うならサシバの暗色型を『ブラックサシバ』と呼ぶのと同じようなもの。
ここで大きな疑問。
これまで白色型をハクガン、青色型をアオハクガンと呼んできましたが今季渡来した中間型の個体は何と言ったらよいのでしょう。
色々考えてみたもののネーミングセンスが無さ過ぎ、恥ずかしくてここでは言えません。
呼称についての話はここまでですが、中間型を中心にハクガンの群れを観察していると1/3ほどの群れが餌場を離れました。
それから約10分ほど経つと半数の個体群が離陸。
中間型を含め残った個体群は更に5分ほど経過すると餌場を離れたため、飛び立ちの瞬間は予めカメラを構えていたこともあり余裕を持って撮影することができました。
上空を旋回するように飛んだ群れは塒の方向へ飛去したため、この日の観察はここまで。
結果的にハクガンの群れを観察することで私の気持ちは満たされましたが、翌日は再びストレスを溜める羽目に…
翌日(11月4日)は自宅近くの雑木林から観察をスタート。
前週と同様にこちらではベニマシコの数が多く見られ、個体によっては夏羽を多く残す個体も。
自宅近くでの観察が思いのほか好調であったため、山間部へ移動してみると見覚えのある車を発見。
付近には地元バーダー氏がカメラを構えており、考えることは同じようです。
氏によると『鳥の声が聞こえねぇ』とのことで耳を傾けると確かに山は静まりかえっていました。
あわよくばムギマキと考えていたものの見事に空振り。
またもやガソリンを撒き散らし温暖化を助長する結果に…
結局自宅近くへ戻り農地へ行ってみるとミヤマガラスの群れが上空を渦巻いており、カメラを構えてみたものの動きを表現できず。
それならばと動画に切り替え撮影してみたものの、誰がこの動画を喜んで見るのでしょう。
自問自答しながらも群れの様子を見ていると付近の田んぼに降り採餌を始めましたが、何処からかコクマルガラスの声が聞こえます。
パッと見た目に成鳥は見当たらなかったため幼鳥が混ざっているのだろうと双眼鏡で1羽ずつチェックしてみると案の定幼鳥を発見。
しかしカメラを構える間も与えてもらえず群れは別の田んぼへ…
ミヤマガラスは警戒心が強いためほとんどのケースにおいて飛ばれてしまいます。
気付いてみるとムキになってミヤマガラスを撮影しており、一体この時間は何だったのか。
これもまた温暖化の影響で頭がおかしくなっていたのかもしれません。
過ごしやすい時期は本当に短くなってしまいました…
本日の観察日記はここまで。