前回の続き。
今回の旅は2泊3日のスケジュールで真冬の道東へ。
初日は例年にない規模の流氷を眺め、二日目はお目当てのチシマシギを探して回りましたが残念ながら発見には至りませんでした。
知人より今季は出が悪いという前情報を頂いていたこともあり、早い段階で気持ちを切り替えラッコの観察へ出かけてみることに。
その道中、目にしたのは風蓮湖に集まるオオワシとオジロワシ。
冬の道東において風蓮湖は撮影スポットとして知る人も多いことでしょう。
餌付けによるものですが私にとっては初めて見る光景ということもあり暫しの間足を止めて撮影を楽しみました。
肝心のラッコは条件良く観察できたものの海から吹き付ける風が強く凍える思い。
鼻水を垂らしながら観察を続けた正午過ぎ、地元在住の知人よりウミガラスが港へ入っているとの情報を頂き現場へ急行することに。
2024年2月11日 (午後)
ウミガラスが見られるという港までの所要時間は約1時間半。
私が到着するまで抜けずに港へ留まってくれるのか...
不安が先に立ったものの滅多に無いチャンスを逃す訳にはいきません。
道路へ飛び出してくるエゾシカに注意しながらハンドルを握ること1時間半、予定通りの時間に港へ着き周囲を見渡してみると...
時既に遅し。
情報のあった場所にウミガラスの姿はありませんでした。
しかし簡単に諦められるものではなく、広い港湾内を見て回ったところ遠巻きに2羽のウミガラスを発見。
情報のあった個体に間違いありません。
どうやら知人が港を離れた後に場所を移動していたようです。
距離は離れていましたが私にとって初めて見る冬羽のウミガラス。
確認当初は「ちょっと遠いな」と感じましたが、繁殖地の天売島で見た時にはもっと距離が離れていました。
そのため贅沢なことは言わずウミガラスの観察に集中していると時間の経過と共にこちら側へ。
願ってもないチャンスの到来です。
距離が縮まると睡眠の姿勢を取ってしまいましたが、驚くほど近寄ってきて...
遂に岸壁ギリギリの位置へ到達。
この時撮影した画像はほとんどがピンぼけ写真。
あまりの近さに単焦点の望遠レンズではピントが合いませんでした。
即座にレンズを交換できると良かったのですが、通常では有り得ない距離感に冷静さを失っていたように思います。
写真を残したい気持ちと肉眼で観察したい気持ちの鬩ぎ合いが続き、その間にもウミガラスは色々な仕草を見せてくれました。
何よりも印象に残ったのはこれまでに地元で見てきたハシブトウミガラスとの特徴の違い。
ハシブトウミガラスは地元でも見られることがあり冬羽の特徴を比べることができたのは大きな収穫と言えるでしょう。
近年ではハシブトウミガラスも見られる機会が減ってしまったため今回の観察経験は貴重なものになりました。
岸壁の縁に浮かんでいたウミガラスが少し遠退いたところで撮影に没頭。
この時に撮影できた画像は永久保存版。
距離が離れつつあったタイミングでこのポーズ。
まるで『バイバイ』と言っているかのようです。
ウミガラスの観察と撮影を終えた時点でこの日の観察は終了。
宿泊先の温泉宿まで約3時間の道のりとあって、ある程度のところで観察に区切りをつけなければなりませんでした。
冬の北海道らしい景色を眺めながらドライブを楽しんでいると時々目にするのは雪原を歩くキタキツネの姿。
ほぼシルエットですが、広大な風景に見るキタキツネはこの様に撮った方が良いのかもしれません。
3時間のドライブを経て無事に温泉宿へ到着。
宿泊先は阿寒川を眺めることのできる宿でロケーションは抜群。
こちらは部屋からガラス越しに撮影した画像になりますが、シマフクロウがやって来そうな景観です。
広々とした部屋には個室温泉も有りのんびりとした気分に。
一人で泊まるには少々もったいなかったような...
この日の夕食は懐石料理。
どの食材も質が良く、前日に引き続き食の面においても北海道を満喫。
宿は海外からの観光客が多く、そのほとんどは中国の富裕層でした。
2024年2月11日
2泊3日の旅もこの日が最終日。
いつもの旅では宿泊先の朝食に手を付けず宿を後にしていますが、今回はのんびりとした旅行ということもあり朝から温泉を楽しみしっかりと朝食を頂くことに。
朝食は蒸籠蒸しに花咲ガニの味噌汁とちょっとした贅沢気分を味わいましたが、のんびりした時間こそ私にとって一番の贅沢。
9時頃に宿を出ると外は北海道らしい冷え込みになっており車載モニターには氷点下12℃の表示が。
周囲の木々は真っ白に凍り付き太陽に照らされるとキラキラ光り輝き眩しく思えるほど。
暖冬の今季はこうした光景を見る機会が少なく、同じ雪国に住みながらも冬らしい風景に目を奪われていました。
光り輝く霧氷を眺めながら走ること約40分。
この日最初に見たのはエゾフクロウ。
陽射しが眩しかった為か奥まった場所で寝ているようでした。
様子見程度に立ち寄ったため滞在時間は僅か5分。
この後は鶴居村へ移動しタンチョウの観察を楽しむことに。
到着したのは10時過ぎとあって給餌も終わり帰る人もちらほら...
タンチョウたちも何処かのんびりとした様子です。
採餌を終えて餌場を離れる個体も見られるなか、活発に動く個体はいないかと周囲を見渡していたところタンチョウの甲高い声が響きました。
この時に撮影した画像がこちら。
厳しい冷え込みだったからこそ写すことができたタンチョウの吐息。
鳥の呼吸を写真にできるのは北海道ならではでしょう。
もう少し時間が早ければ逆光を利用して“火を吹くタンチョウ”を写すことができたかもしれません。
暫くすると近場に居合わせた個体も声を発しましたが角度的な問題からか吐息を見ることはできませんでした。
こちらの2羽が見せたのは求愛のダンス。
向かい合ったり背を合わせたり、駆け回ったりジャンプしたりと様々な動きを見せてくれました。
楽しい時間は本当にあっという間。
空港までの所要時間を考えると鶴居村を離れなければならない時刻が差し迫っていました。
タンチョウの観察を終えた後はエゾフクロウを少々観察して中標津空港へ。
今回の旅ではお目当てのチシマシギを見ることができなかったものの、冬羽のウミガラスを見ることができた他ラッコの観察も楽しめました。
のんびりと温泉に浸かることができたこともまた旅の良い思い出です。
来月も別の目的で道東を再訪する予定ですが果たしてどんな結果が待ち受けているのでしょう。
良い成果が得られますように...
2024年 野鳥観察の旅 in 道東 (2月) はこれにておしまいです。