2024年2月5日
本日更新の日記は先月1~2日の観察分から。
観察から更新まで約1ヶ月のタイムラグが生じる当ホームページの野鳥観察日記。
新年を迎え1ヶ月が過ぎたところでようやく今年の記事となります。
記録的な暖冬で迎えた新年、元旦の朝は雲の隙間から初日の出が見られました。
この日もヤマドリの観察を目論み各出現エリアを見て回りましたが、好天の影響からか1羽も確認できず...
警戒心が強く薄暗い場所に生息する鳥とあって天気が良い時ほど出が悪いのも頷けます。
こうした無駄な時間の積み重ねがあってこそ良い観察に繋がるものと考え、粘り強く手懸かりを探していると前日(12月31日)に見られた尾羽の短い個体を発見。
画像から分かる通り日陰になる場所を選び出てきたようです。
発見の喜びも束の間。
何を警戒したのか分かりませんが直ぐに山へ逃げ込んでしまい振り出しに戻されてしまいました。
この後、起点エリアで暫く待機してみたものの気配すら感じられず。
あまりの手持ち無沙汰に柿を食べるコガラを見ていましたが、何故かこの柿の木はいつまでも実をつけたまま。
いつかこの柿の木へヤマドリが飛来することを期待しているのですが果たして私の望みが叶う日は訪れるのでしょうか。
こちらは柿を食べるエナガ。
恥ずかしながら観察に偏りのある私は柿を食べるエナガを見たのは初めてでした。
右往左往を続けた正午過ぎ、やっと観察に漕ぎ着けたのは尾羽の短い雄の個体。
午前と同じ田んぼに出ており、こうした様子からも縄張りを持って行動していることが伺えます。
手持ちの図鑑によると冬季は群れで行動するとありますが、縄張り意識の強い鳥が季節によって群れるのは何故なのでしょう。
繁殖期に山へ入ると耳にするヤマドリの母衣打ち。
縄張りを宣言するためと言われていますが、実際のところ個体毎の縄張りなのかそれとも群れの縄張りなのか。
私は図鑑に書いてあることが全てだと思っていないため、自分の目で確かめたいところですが生態が生態だけに難しい課題です。
少々話は脱線してしまいましたが元日に確認できたのはこの1羽のみ。
やはり天気が良い時ほど出が悪いと思わされる一日でしたが、帰宅して間もなく能登半島地震が発生。
地震大国と揶揄されるだけあり、いつ大地震が発生してもおかしくはありませんが、元日にこうした地震が発生するなど一体誰が想像できたでしょう。
東日本大震災以来の大津波警報も発令され、テレビに表示される『にげて!』のテロップ。
私の住む秋田市は震度3と津波の被害もなく無事に経過しましたが、東日本大震災で見た光景を思い出す元日となってしまいました。
地震発生から一夜開けた1月2日、人によっては行動を自粛された方もいるかもしれません。
嘗ては活動の自粛を呼び掛けられたこともありましたが、現在は自粛の必要がないと言われています。
しかし私はどちらが間違いとも思いません。
各々の考えがあって当然です。
この時私にできることは何一つ無かったため通常通りヤマドリの観察に出かけましたが各エリアを見て回るも全く確認できず。
その為この日は新たなエリアを開拓しようと今までに見ることのなかった田んぼを覗いてみると...
雌2雄2の計4羽が採餌をしており私を警戒した群れは一斉に飛去。
「やっちまった」
いきなり当たりを引くとは思わず、車を降りて覗いたのが失敗のもとでした。
気を取り直して方々探してみたものの思ったような成果を上げられず、三日前(12月30日)に観察できた田んぼを覗いてみるとペアのヤマドリを確認。
この時は雌から観察を行いましたが、画像を見ての通りキジの雌に比べると羽の模様が複雑です。
この複雑な模様が保護色となり、身を守るため抜群の効力を発揮するのでしょう。
その一方で雄は派手にも見えますが、林のなかへ居ると意外にも目立ちません。
実際問題、雪が無ければ田んぼに居ても目立たずこれまで見逃していた可能性も大。
こうして観察ができているのも偶然がきっかけであり、その偶然がなければ近くに居ながらも遠い存在だったことでしょう。
目の前で採餌する様子を暫く眺めていましたが、思い出したように動画でも記録。
採餌を止めると雪上を歩き始め山へ戻ってしまうのかと思いましたが、雪上をうろうろと行ったり来たり。
山へ戻ろうか再び餌を採ろうか悩んでいたのでしょうか。
勿論私の想像の範疇に過ぎず実際のところは分かりません。
結局ヤマドリは採餌を再開しましたが、今度は雪の融けた場所を移動しながら採餌を続けました。
この時思い出したのが嘗て聞いた農家さんのお話。
野鳥観察を始めて間もなかった頃、とある地域の農家さんと話をしていると『冬になれば田んぼさヤマドリ来るや』と言われたことがありました。
当時はおおかたキジと勘違いしているのだろうと思いましたが、あながち勘違いではなかったのかもしれません。
野に生きる者だけに絶対ということはなく決めつけるのは間違いのもと。
ここで考えたのは田んぼへ出るヤマドリは異例のことなのかどうかという点。
群れを目撃した当初は昨年の猛暑の影響により山に食べる物がなく田んぼへ出てきたものと考えていましたが、観察を重ねるにつれその考えは間違っているのではと思い始めました。
この日よく見られたのは嘴で雪を払い除け足で地面を掻くような行動。
あたかも雪の下に餌があることを理解し手慣れた作業のようにも見えました。
静止画では伝わらないためその行動を記録した動画がこちら。
この地域のヤマドリがこうして採餌する術を身につけているのであれば、来年の冬も同様の観察できるかもしれません。
その様に考えると益々楽しみは増えますが、足元を固める意味でも今季の観察が大事になると思います。
一周するように元居た場所まで戻ってきたヤマドリは沢の方へ。
観察を始めてちょうど一時間経過するところでした。
じっくり観察させてもらえたことに感謝してその場を離れましたが、別エリアで目撃したのは5羽のヤマドリ。
しかし停車した瞬間に3羽が飛去。
いずれも雌であったように思いますが田んぼに残ったのは雌雄1羽ずつ。
雄の個体は尾羽の短い個体で、やはりこちらのエリアを縄張りとしているようです。
更に新規開拓エリアを覗いてみると雌1雄2の計3羽を確認。
距離にして150m離れていたため先ずは証拠写真とカメラを構えた瞬間...
一斉に飛去してしまいました。
非常に残念な結果になってしまいましたが狩猟鳥であるだけにこの警戒心こそ本来あるべき姿なのでしょう。
こうして終わった年始の観察。
学びの多い両日でしたが、3日は所要のため観察を休み冬季休暇最終日となった4日は再びヤマドリの観察へ出かけました。
4日は思わぬ場面に遭遇しましたが、そちらの様子は次週更新の日記へ続きます。
本日の観察日記はここまで。