2024年3月20日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の旅は未だヤツガシラを見たことがないという友人の要望に応え、渡りの最盛期を迎える与那国島で観察の計画を立てました。
4泊5日の日程で与那国島を巡る他、石垣島でも観察を行い一足早く春の渡りを楽しもうという計画です。
20日、出発当日の朝は0℃まで冷え込み雪の舞うお天気。
しかし私は薄手のジャケットにTシャツという風邪をひいてしまいそうな軽装。
普段であればダウンを羽織るところですが旅先の最高気温は28℃の予報が出ており荷物でしかありません。
寒いのはターミナルへ移動するまでのほんの一瞬。
ここはグッと堪えて痩せ我慢。
09時35分、雪景色の秋田空港を離陸。
中継地の羽田空港で友人と合流し新石垣空港へ。
石垣空港へ到着したのは定刻から35分遅れの15時15分。
ここで与那国行きの便へ乗り継ぐ必要があり出来ることなら15時25分発の便へ乗りたいところでした。
しかし定刻の14時40分に到着したところで乗り継ぎ時間に余裕がなく安全策を取って17時45分発の便を予約。
結果的に15時25分発の便には間に合うはずもなく、心にゆとりを持って与那国島へ。
18時30分、与那国空港へ到着。
丸一日がかりの移動となりましたが無事に目的地へ到着。
宿泊先に移動した後、最寄りの居酒屋で夕食を頂き翌日からの観察に備えました。
2024年3月21日
この日の朝、思いもよらない事態が発生。
起床直後、私を襲ったのは激しい目眩。
あまりにも酷い状態に体を起こしていられず直ぐ横に...
睡眠の姿勢を取ると症状は無くなり意識もはっきりしますが、時間を置いて体を起こしてみると再び激しい目眩に襲われました。
旅行前日まで仕事に追われ過労気味だったことに加えて脱水状態が重なってしまったようです。
友人に症状を伝えたところ『病院へ行った方がいい』と諭されましたが気が進みません。
そうこうしているうちに宿の女将さんの声が聞こえ『島のホットラインを使ってドクターヘリに...』と話が大事になっていました。
『間もなく救急車が来る』と伝えられ私はまな板の鯉。
担架に乗せられ最寄りの診療所へ搬送。
※写真はあくまでもイメージ。
Dr.コトー診療所のように海沿いではなく与那国島診療所は島の真ん中にあります。
問診を受けながら血圧を測ると上の値が170まで上昇しており私自身驚きを隠せませんでした。
採血した後は点滴を開始。
目眩を抑える点滴も追加で入れてもらいましたが、採血の結果を見る限り特段気になるような数値は出ていないとのこと。
点滴が終わった頃には目眩もだいぶ収まり10時過ぎに診療所を後にしました。
リアルコトー先生から一週間ほど安静にするよう言われましたがそうも言ってられません。
友人の期待を背負ってこの旅を計画していただけに私にはそれなりの責任があります。
慌ただしく身支度を整え宿を出発したのは10時半頃だったでしょうか。
当初の予定よりもだいぶ遅れてしまい体調よりもメンタル的に相当追い込まれる状態にありました。
少しでも遅れを取り戻そうと主要観察スポットを順に回っていたところ早いタイミングでオオチドリを発見。
この時期の与那国島では抑えておきたい旅鳥の一種です。
比較的近い距離で見られただけではなく採餌の様子もしっかり観察でき幸先の良いスタートを切ることができました。
オオチドリを観察した後は本命のヤツガシラを探すため島を巡回。
発見に繋がる可能性としては一番と言える場所を丹念に見て回ったもののヤツガシラは確認できず...
与那国馬に纏わりつくように見られたのは沢山のツメナガセキレイでした。
こちらの場所、以前は沢山のタヒバリ類を見ることができていたものの現在はその姿を消しつつあるようです。
特にマミジロタヒバリについては1羽も確認することができませんでした。
その後も島を転々としましたがヤツガシラを見つけることのできないまま時間だけが過ぎていき、浜辺の公園へ立ち寄りトイレ休憩を挟んだところ...
慌てた表情で車へ戻ってきた友人。
『ヤツガシラがいた!!』
トイレの方へ視線を移すと確かにヤツガシラがのんびりとした様子で寛いでいました。
たまたま立ち寄った場所とは言え自力発見できた感動は一入だったことでしょう。
ヤツガシラは個体によって大きく警戒心が異なるため、距離を置いて観察することを奨め少しずつ性格の把握に努めます。
観察を続けるとこちらの公園ではもう1羽のヤツガシラが見られ、警戒心の度合いは各々異なることが判明。
友人が発見した個体は私が今まで観察してきたなかでも異例と思えるほど警戒心が緩くカメラを構える私たちに近寄って来る場面もありました。
頻りに地面を突っつき捕まえたのはゴキブリ。
餌としている生き物は石垣島と同様にゴキブリがほとんど。
時にはこちら側が後退しなければならないほど近寄ってくる場面も。
採餌が終ると休憩に入りましたが、こちらはスマホで撮影した画像です。
車内からの観察では間近に見ることのできる機会も往々にしてありますが、剥き出しの身でありながらこういった観察をした記憶はありません。
その後も縦横無尽に動き回るヤツガシラを観察し様々な場面を見ることができました。
初日はヤツガシラの観察に時間を費やし、無事目的を果たすことのできた友人にとっては満足のいく一日になったことでしょう。
私としてはヤツガシラが出てくれたお陰で救われた一日となりました。
2024年3月22日
この日の朝はアサクラサンショウクイの捜索から。
前日の朝、先に与那国入りをしていた知人よりアサクラサンショウクイ発見の一報を受けていましたが私はあの世へ行きかけていた頃...
発見と同様の時刻に見られるのではと考え情報のあった場所へ足を運びましたがそれらしき姿は見られませんでした。
手持ち無沙汰に撮影したのはホオジロハクセキレイ。
この他にタイワンハクセキレイも見られましたが、シベリアハクセキレイらしき個体については審議入り。
以前に比べて環境が悪化してしまった与那国島は鳥そのものが少ないと感じるようになり、普通種のシマアカモズでさえ少なくなったと感じられました。
その一方で数を増やしていたのはインドハッカ。
こちらは適応力が高いのか島のあちこちで見られるように...
痺れるような出会いを求め移動していたところ前日には見られなかったムナグロの姿が。
群れをチェックしてみるとオオチドリが1羽混ざっていることに気付き時間を掛けて観察してみることに。
羽の特徴から前日観察した個体とは別個体であることが分かり車内からじっくりと観察。
こちらのオオチドリ、ムナグロの群れに紛れているようでいて行動については全く別。
群れが一斉に飛び立った場面でもオオチドリだけは飛ぶことなく、その場へ留まり採餌を続けていました。
オオチドリはムナグロの群れをカモフラージュに利用していただけなのかもしれません。
観察を楽しんだ後は新たな出会いを求めて島を巡回。
次に見ることができたのはムネアカタヒバリでした。
換羽が始まって間もないのか夏羽がうっすらと見られる状態。
ツメナガセキレイと行動を共にしていましたが付近に与那国馬が居たこともあり行動範囲は限定的。
そのお陰もあって比較的近い距離でじっくりと観察することができました。
その後、夏羽のオオチドリが見られたという情報を基に現地へ足を運んでみましたが時既に遅し。
朝に見られたムナグロやオオチドリもあっという間に抜けており時間毎に鳥相が変わっていたようです。
夏羽のオオチドリを見つけられず車へ戻ろうとしたところ、聞きなれないホオジロ類の鳴き声が...
鳴き声を頼りに歩を進めたところ目に飛び込んできたのはサバンナシトド。
思わず「うおっ」という声を上げてしまい即座にカメラを構えましたがファインダーを覗くとサバンナシトドの姿がありません。
友人によると私がカメラを構えた瞬間、ブッシュの陰へ飛んで行ったとのことでした。
島内で探鳥を続ける知人にもサバンナシトド発見の一報を入れここから皆で大捜索。
草を掻き分けブッシュの縁を慎重に見て回っているとウズラが飛び出したという情報も。
時間との戦いに焦りを感じましたが結果として再発見に至らず...
残念ながらサバンナシトドは幻の記録となってしまいました。
与那国島での探鳥も残り僅か。
夕方には石垣島へ移動する予定であったため最後に観察したのはヤツガシラ。
前日と同じ場所で見られたこのヤツガシラ、この日は公園でバーベキューを楽しむグループの横で平然と餌を採っていました。
探鳥の様子についてはだいぶ割愛していますが、与那国島で見られたヤツガシラは4個体。
友人は満足できていたようですが私としては不甲斐ない結果に終わったと感じています。
やはり体調が優れず、探鳥をするにも何処か集中力の無い状態が続いていました。
まさかこの様な展開になるとは思いもよらず、友人にも島の方々にも迷惑を掛けてしまいましたが出来ることならまた来年万全を期して島を訪れたいところ...
予定通り夕方の便で与那国島を離れましたが石垣島での様子は後日更新の日記へ続きます。