2026年5月22日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の目的地は道東・知床半島。
例年この時期になると知床にはシャチの群れが集まるそうですが、私は未だその光景を見れずにいました。
これまで何度か観察を計画したものの、海況の悪化や霧の影響により船に乗ることさえできず。
今回もまた出発当日の運航は午前便に欠航の表示が出ており、果たして乗船まで漕ぎ着けることはできるのか…
日程初日は羽田空港を中継地として北海道へV字飛行。
道東の玄関口、根室中標津空港へ到着したのは定刻より1時間遅れの15時10分でした。
当初の計画では夕暮れ時まで野鳥観察を予定していましたが、到着が大幅に遅れたこともあり時間に余裕がありません。
そのためこの日は温泉にのんびりと浸かり、北海道ならではの食を楽しむ一日に。
2026年5月23日
日程二日目はいよいよ乗船当日。
雲一つない青空に風も穏やかな朝を迎えましたが、海況は素人が考えるほど甘くありません。
船会社が下した決断は…
めでたく出航の知らせが入り先ずは一安心。
しかしシャチの群れに遭遇できるかは運次第です。
場合によっては思い描く光景を見られないこともあるでしょう。
羅臼港を出港したのは午前9時。
外気温は6℃と冷え込むなかのクルーズとなったため、体に受ける風はとても冷たく感じました。
外港へ出てまもなく『港近くまでシャチが寄ってきている』とのアナウンスが入り、我先にと一斉に動き出す観光客。
私は少し出遅れたものの2頭のシャチを確認。
背景に写るのは知床連山。
参考までに今回使用した機材は100-400mmのズームレンズと500mmの単焦点。
こちらの背景に写るのは国後島。
2台のカメラを持ち込みましたが、できる限り風景を取り入れたかった私はズームレンズでの撮影がほとんどでした。
大きく綺麗に撮りたい場合は超望遠単焦点に勝るものはありませんが、野鳥とは規格が異なるため、シャチの撮影には使いにくいと感じる方がいらっしゃるかもしれません。
港近くで疎らに見られたシャチを観察していると『国後側に大きな群れが出ている』と他船より情報が入り、私が乗った船も国後側へ。
沖に進むにつれ波の影響を受けるようになり、時には大きく揺れることも。
陸地からの見た目とは全く異なり、やはり素人が考えるほど海況は甘くありませんでした。
程なくして見えてきたのはシャチの背ビレ。
群れはあちこちに分散しており、何処を見たらよいのやら。
至近距離で見られる個体、他船に近寄る個体と様々見られ観光客も右へ左へ。
初めて見る光景に目移りしてしまい、私も落ち着きのない動きをしていたように思います。
羅臼では例年4月下旬から7月上旬にかけて根室海峡に姿を現し、最も遭遇率が高くなるのは5月中旬から6月末。
シャチが羅臼に集まる最大の理由は、根室海峡の「独特な地形」と「豊富なエサ」が揃っているからなのだとか。
船舶会社のスタッフによると知床半島と国後島に挟まれた根室海峡は、岸からわずか数キロ離れるだけで水深が300m〜2,000m以上に達する急峻な深海になっており、この急激な深さの違いによって、海の深いところにある栄養豊富な海水が湧き上がる「湧昇流(ゆうしょうりゅう)」が発生するそうです。
栄養豊富な海水のおかげでプランクトンが大量に発生し、それを食べる魚やイカなどが集まり、更にシャチの大好物であるイルカやクジラ、トド、アザラシといった海生哺乳類もこれらを求めて集まるため、シャチにとっては「最高の狩場」になるとのこと。
何よりも根室海峡は両側を陸(知床半島と国後島)に挟まれているため、外洋に比べて波が穏やかになりやすい特徴があり、赤ちゃんシャチを連れた家族が安心して子育てができる場所として選ばれているそうです。
スタッフの説明にあった通り、今回は赤ちゃんを連れた群れを何度か見ることができ、シャチの絆を感じられる場面も多くありました。
約2時間のオーカ(Orca)ウォッチングはあっという間。
約80頭に及ぶシャチを観察でき、学びもあった今回のクルーズは成功のうちに終わりました。
帰港してからは道の駅に立ち寄りホッケ焼き定食に舌鼓打ち、デザートに選んだのは羅臼の海洋深層水を使用したソフトクリーム。
淡い海色をした、目にも涼しいこのソフトクリーム。
ミルクの甘みとほんのり効いた塩味が絶妙でした。
昼食を終えてからは残雪が目立つ知床峠へ。
道すがら見られるエゾシカに気をつけながら車を走らせ、辿り着いた定番のビュースポット。
ここで耳にしたのはオオジシギの鳴き声。
「こんな所にオオジシギ?」と耳を疑いましたが、聞き間違えるはずもありません。
耳を澄ませてみると鳴き声の出所はハイマツ帯。
当然ながら姿は見えませんでしたが、雪渓に出てくることがあれば面白い場面になると暫く粘っていたところ…
突然聞こえてきたディスプレイフライトの風切り音。
辺りを見渡すと高空を飛ぶオオジシギが何度もディスプレイフライトをしていました。
上の写真は拡大したものですが、次に掲載するのは羅臼岳を背景に飛ぶオオジシギ。
まだ夜間は強く冷え込むこの時期。
まして山中で繁殖する個体がいるのかと、不思議に思いながらディスプレイフライトを眺めていました。
オオジシギの観察を終えた後は宇登呂側を散策して、知床自然センターで一休み。
海外からの観光客が多く立ち寄るこちらの施設では、海外流行りのMatcha Latteを注文。
普段こんな飲み物を飲まない私ですが、驚くほど美味しく感じたのは北海道マジックでしょうか。
休憩を終えて車を走らせていると道路脇の空き地で見られたのはキタキツネ。
ここまではよくある話ですが、次の瞬間ぬいぐるみのような仔ギツネが顔を覗かせました。
角度を変えてみると崩れた側溝が巣穴のようになっており、もしかするとこちらで繁殖したのかもしれません。
じゃれ合う仔ギツネに私の表情は緩みっぱなし。
キタキツネの親子を観察して、この日も早めに宿泊先へ。
温泉に浸かりのんびり過ごす時間は非日常。
一日の出来事を思い返すと、観察に食と満足感の高い一日でした。
2026年5月24日
日程三日目。
北海道の小旅行は早くも最終日。
この日は乗船を予定していませんでしたが、クルーズ船の運航状況に目を通すと終日欠航の表示が。
今回はいかにタイミング良く乗船できたか、運の良さを感じずにいられませんでした。
閑散とした羅臼港に足を運ぶとカラスに追われるオジロワシを目撃。
最終日はシマリスの観察を目的としていたため朝一番で羅臼町を離れましたが、道すがら見られたのは電柱止まりのオオジシギ。
更に付近の牧草地にはタンチョウの姿も。
北海道らしい光景の連続に気分を良くしましたが、果たしてシマリスは…
運の良さはこの日も続きました。
視界に飛び込んできたのは、岩の上で丸まっているシマリス。
暫く様子を伺いましたが、特に動く気配が見られずシマリスにとっては寒かったのかもしれません。
その一方、冬眠をしないエゾリスは巣穴を出入りしたりと動きが活発。
シマリスの様子を眺めてから1時間が経過した頃でしょうか。
気温が上昇すると少しずつ動きが見られるようになり、採餌の場面も。
時には素早い動きに翻弄されることもありましたが、シマリスの観察もまた成功のうちに終わりました。
観察を楽しんだ後はこの旅の〆にといつもの回転寿司へ。
圧倒的な鮮度と地元ならではのコストパフォーマンスに優れた根室花まる。
「寿司の王道のど真ん中で勝負する」というコンセプトを掲げている通り、奇をてらった創作寿司ではなく、素材そのものの味を活かした正統派の寿司を楽しむことができました。
帰路は定刻通り道東を後に。
今回の旅を振り返ってみると初日こそ大幅な遅延に見舞われたものの、念願だったシャチの群れを観察することができ、道東らしい風景や生き物との出会いにも恵まれた旅になったように思います。
観察に食、そして温泉。
慌ただしくも充実した三日間となりましたが、もし再び知床を訪れる機会があれば、季節や目的を変えて道東の自然を楽しみたいと思います。
2026年 生き物観察の旅 in 道東 (5月) はここまで。