2025年4月30日
本日更新の日記は3月16日の観察から。
3月中旬は低気圧の影響を受ける日が多く、この日も全国的に雨や雪の降る生憎の天候が予想されていました。
秋田県においては午前10時頃から天候が崩れる予報となっており、早い時間が勝負と自宅を出たものの3月中旬はちょうど端境期。
加えて三陸沖を北東に進む低気圧が真冬のような北風を引き摺り込み、南から北上する渡り鳥にとっては悪条件が重なっていたことでしょう。
こうした理由からこの日の探鳥には期待を持てずにいましたが、手始めに干潟の様子を見てみるとフワフワと飛び回る1羽の小型カモメ類を目にしました。
他のカモメ類とは異なる飛び方と体長からズグロカモメを疑い、双眼鏡で確認してみると識別点の要となる特徴がズグロカモメと一致。
暫く車内から様子を見ていると採餌と休憩を繰り返していることが分かり、行動パターンもある程度把握できたことから干潟を歩いて観察してみることに。
これまでにズグロカモメについては幾度となく記事にしているため過去の日記と同じ内容になってしまいますが、先ずは本県におけるズグロカモメの観察難易度から。
日本には冬鳥として渡来するズグロカモメですが秋田において観察の機会は限定的。
渡来数が極端に少ないため九州北部のように観察することはできません。
それでも近年はこの時期に狙って観察できるようになりましたが、観察例は増えても秋田ではまだまだ珍鳥扱い。
こうした地域性と環境の違いから佐賀県の東よか干潟(大授搦)でズグロカモメの大群を目にした時は度肝を抜かされました。
生態として干潟への依存性が強いためか東よか干潟ではおびただしいシギチと共にズグロカモメの大群を見ることができ同じ国とは思えなかったほど。
秋田でも規模の大きな干潟があれば観察の機会は増えると思いますが、残念ながらズグロカモメが好む環境は局所的です。
次にお話するのは他のカモメ類とは異なる行動について。
干潟にはズグロカモメの餌となる甲殻類が豊富ということもあり干潮時刻は活発に飛び回る姿を見ることができました。
沼アジサシを彷彿とさせる飛び方について冒頭では「フワフワ」と表現しましたが、これが適当であるのか別として浅瀬や干潟を見下ろしながらゆっくり飛び回ります。
餌を見つけると急ブレーキをかけるように身体を翻して方向転換。
狙いを定めるように急降下を見せますが、沼アジサシと異なるのは着陸して餌を捕獲するという点。
浅瀬や干潟で餌を探すという生態から飛び方こそ似ていますが、沼アジサシは餌を掬い上げるように捕獲するのに対しズグロカモメは必ず着陸します。
こちらの場所で餌としていたのはスナモグリ。
捕獲した場面の画像を拡大。
砂地に穴を掘って生息するスナモグリを捕獲するには干潮時が狙い目となるのでしょう。
そのためズグロカモメが活発に飛び回るのもこの時。
私はタイミング良くこの時間帯に当たったようです。
最後は識別点について。
ズグロカモメと同じく日本で見られる小型カモメ類のユリカモメと比較した場合、体長は一回り小さく、嘴が短く太めで黒色であることが特徴です。
しかしユリカモメには季節変化があり冬羽の頃は赤く見える嘴が夏羽の頃には黒みを帯びるため光の加減や距離によっては黒く見えることもあるかもしれません。
両種が並ぶと体長の違いは一目瞭然ですが、この時は付近にユリカモメが見られなかったため残念ながら比較する写真を撮ることはできませんでした。
比較できる画像のみ過去に撮影した画像を掲載します。
ユリカモメと決定的な違いは初列風切。
ズグロカモメの初列風切先端は白斑があり静止時には白黒の縞模様に見えるのが特徴です。
※この特徴が出るのは成鳥羽になる二年目以降。
その一方、ユリカモメは成鳥になっても白斑が出ることはありません。
成鳥に限った話になりますが静止時の初列風切を見るだけで両種を見分けることができるため、カモメ観察初心者の方にはお奨めの識別方法です。
今回観察した個体は換羽中だったこともあり頭巾を被ったような容姿ではありませんでしたが、今頃は和名通りの見た目になっていることでしょう。
観察を続けていると雪がちらつくようになり車へ退避。
次第に降り方が強まったこともあり雪景色と絡めて北国らしい写真を残そうと考えましたが、雪は霙へと変わり霙は雨へと変わってしまったため思い描くような写真は撮れず…
土砂降りになってもズグロカモメは休憩と採餌を繰り返していましたが、これ以上の観察はできないだろうと場所を移動することに。
しかしこの後に待っていたのは空振りの連続。
強いて言えば夏羽のアカエリカイツブリを見たくらいだったでしょうか。
残念な結果ですがこれは想定内。
普段であれば肩を落として帰宅するところですが、この日はズグロカモメを観察できたことにより意外にも充実感のある一日となりました。
本日の観察日記はここまで。