2026年3月30日
本日更新の日記は今月1日の観察から。
冬から春へと季節が変わるこの時期、近年継続しているのが塒立ちの観察。
今季は2月26日にピークを迎え、25万羽ものマガンが確認されたそうです。
※地元、自然の会による集計。
既にピークを過ぎたと知りつつも、年に一度は見ておきたい塒立ち。
こうした思いから今季も真夜中に自宅を出発しました。
現地に到着したのは午前5時。
日の出時刻は6時16分とあって辺りは真っ暗でしたが、注意しなければいけないのは車のライト。
場所にもよりますが車のライトを照らした状態では、塒で羽を休めるガン・カモ類を驚かせてしまいます。
今回私が観察を行った塒は特に注意が必要で、だいぶ手前からスモールライトに切り替える必要がありました。
細心の注意を払って駐車した後、窓を全開にして声の確認。
西風が強く鳴き声はかき消され気味でしたが、それでも声が聞こえて先ずは一安心。
しかしこの後に問題が発生。
ライトを照らしたまま塒へ接近する車が後を絶たず、暗がりのなか塒を離れる個体が現れ始めました。
光量的にまだ観察できる状態にありませんでしたが、いつ飛び立つか分からない状況に慌てて観察のスタンバイ。
時刻は5時47分。
塒を覗くと手前にハクチョウ、奥には帯状に連なるマガンと思わしき群れを確認。
双眼鏡越しに見ても種を同定できるような状況ではなかったため、日の出時刻を待っていると…
ライトを点けた車が塒の目の前まで接近。
これに驚いたガンの群れは一斉に飛び立ってしまいました。
突然の出来事にカメラの設定もままならず闇雲にシャッターを押しただけの画像ですが、右往左往するガンの姿が分かるでしょうか。
暗がりのため正確な数は分かりませんが、この時に半数の個体が塒を離れてしまったように思います。
暫くするとうっすら辺りが明るくなったため、残ったガンの群れを撮影。
画像からは見て取れませんが、群れのほとんどはマガン。
次いで多かったのはヒシクイ。
シジュウカラガンの有無については分かりませんでしたが、少数のハクガンも確認できました。
地元の自然の会によると3月1日のデータにはマガンの羽数15万羽という集計結果があり、何よりも驚いたのはハクチョウの羽数が0になっていたこと。
もしかするとそちらは誤植によるものかもしれません。
強い西風に体を震わせながら塒立ちに備えていると、一難去ってまた一難。
今度は塒に沿う形で移動する車が現れ、またしてもガンの群れは飛び立ってしまいました。
暗がりの空を右往左往するガンの群れ。
この時は半数以上の個体が塒を離れたでしょうか。
残った個体は水面へ戻りましたが、これは本来あるべき姿ではありません。
本来の塒立ちは夜明けとともに始まります。
フライング的に飛び立つことがあっても、暗闇のなかほとんどの個体が塒を離れるのは異常と言えるでしょう。
これこそが観察圧。
SNSが普及したことにより『映え』を狙ったカメラマンが増え、結果的に迷惑を被るのは生き物たち。
マナーやモラルが問われますが、明確なルールが定められていないだけに周知が難しいのも事実。
しかし誰かが言わなければいけません。
それが当たり前になってからでは手遅れです。
話は逸れてしまいましたが、今回話題にしたのは帰り際に県外ナンバーの車を見たことがきっかけ。
遥々秋田県まで塒立ちを見に来られたようですが、本来であればもっと素晴らしい光景を見られたことでしょう。
私も秋田を離れる機会が多くなっただけに、地元では見られない光景に憧れを抱きます。
もし人為的な影響で本来見られるべきものが見られなかったら、悔しくてたまりません。
こうした想いもあって今回長々と話すことになりました。
日の出時刻が過ぎて辺りが明るくなるとパラパラと塒を離れる個体が見られるように。
今日の塒立ちは終わったと判断したのか現地を後にする方も増え、私も観察を終えるべきか考えが纏まらないまま時間は過ぎていきました。
徐々に数を減らす様子から、動画の録画を停止しようと思った6時31分。
やっと訪れた塒立ち。
鳴き声が一際大きくなると水面が膨らむように飛び立ちます。
群れが押し寄せることで、羽音も聞こえるようになり、これは現地に居なければ体感できません。
放物線を描くように広がる群れを見て例年は「空を埋め尽くす瞬間」と表現していますが、今回は隙間が目立ちました。
こちらは広角レンズを用いて、固定アングルで撮影した動画。
なかには上空を旋回して塒へ戻る個体が見られたものの、ほとんどの個体は餌場や次の中継地を目指して遥か彼方へ。
このようにして今季の観察を終えましたが、帰り際に見られたのは田んぼで眠りにつくマガン。
早々と塒を離れたため、眠かったのかもしれません。
来季は本来ある形で観察できればと思いますが、そのためにはルールの周知が必要です。
生き物のために何ができるのか、気持ち良く観察するために何をするべきか、考えなければいけない時にきているのでしょう。
本日の観察日記はここまで。