2026年6月12日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の目的地は道北の稚内。
これまでに初夏の稚内では何度か観察を重ねてきましたが、ベストシーズンに合わせることができず、私の望むような観察ができずにいました。
度重なる失敗に諦めの気持ちでいたものの、鳥の数は年々減る一方。
北海道も例外ではなく、いつ望むような光景が見られなくなってもおかしくありません。
こうした経緯から、後悔が残らないようにと再び道北を目指すことに。
今回もまた秋田からV字飛行で北海道へ。
稚内空港へ到着したのは定刻から30分遅れの13時15分でした。
初日は移動に時間を費やすことの多い秋田からの旅ですが、この日は少しばかり時間に余裕があったためサロベツ原生花園へ足を伸ばしてみることに。
サロベツ原生花園とは利尻礼文サロベツ国立公園の一部で、ラムサール条約に登録された日本最大級の高層湿原。
100種類以上の湿地性高山植物が自生し、野鳥観察も楽しむことができます。
久しぶりのサロベツとあって期待を持って足を運んでみると…
目にしたのは何とも殺風景な園内。
一面に咲き誇るエゾカンゾウと賑やかな小鳥たちの囀りを期待したものの、私が想像する光景とはあまりにもかけ離れていました。
時期的なものなのか、それとも温暖化の影響によるものなのでしょうか。
静けさのなかに響き渡るカッコウの鳴き声が妙に物悲しく聞こえ、暫く呆然としていたように思います。
こうした状況のなかノビタキだけは姿を見る機会が多く、いずれの個体も育雛中。
餌を咥えたまま私を気にする様子が伺え、うかうか足を止めていられません。
※餌を咥えたまま動かずに居るのは決して愛想が良い訳ではなく、寧ろ警戒している証拠。
必ず近くに巣があります。
雛に餌を与えることができずにいるため早めにその場を離れましょう。
何処を歩いてもこうした状態のノビタキに遭遇し、正直なところ居場所がないと思うほどでした。
この他に見られたのは遠く離れた場所で囀るノゴマ。
こちらはノビタキと同様に育雛中だったホオアカ。
オオジシギは3個体がディスプレイフライトを繰り返していました。
約一時間ほど探鳥した結果、数年前に比べると明らかに鳥の数が減っていると感じ、早々にサロベツ原生花園を離れることに。
車を走らせて間もなく、道路脇で目にしたのはツメナガセキレイ。
草刈り直後で採餌しやすかったためか、複数の個体を目撃しました。
但し、いずれの個体も警戒心が強く観察には不向き。
道路脇ではツメナガセキレイの他、ホオアカやノビタキ、コヨシキリも多く見られ、皮肉なことにサロベツ原生花園より鳥影が濃かったように思います。
初日の観察は期待ほどではありませんでしたが、旅はまだ始まったばかり。
気持ちを切り替えて向かったのは稚内市街地にある人気の居酒屋。
この日の夕食は北海道らしくウニ&イクラ丼を注文しようと思いましたが…
なんと時価の表記。
少し身構えつつ注文したこちらの小さな丼ぶり。
一杯のお値段4950円也。
元々値の張るものとは言え、物価高をまざまざと感じた夜でした。
2026年6月13日
日程二日目は朝一番でサロベツ原生花園へ。
前日の様子から期待通りの観察は難しいと感じましたが、時間を変えれば状況も違うかもしれないと再び足を運んでみることに。
その道中に目撃したのは電柱止まりのオオジシギ。
今や地元では見られない姿に車を止めて眺めていると、頭上をオジロワシが通過。
北海道らしい光景の連続に気分を良くしたものの、肝心のサロベツ原生花園は…
前日とほぼ変わらず。
唯一、前日と違ったのはシマセンニュウを間近に観察できた点でした。
縄張り争いをしていたのか2羽のシマセンニュウが頻繁に姿を見せ、地面を移動する姿はまるでネズミ。
低木へ移動すると囀りを聞かせる場面もあり、潜行性の強い鳥をこのように観察できたことは運が良かったと思います。
サロベツ原生花園での探鳥において残念に思ったのはマキノセンニュウ。
何度か囀りを耳にしたものの姿を見ることができずに終わり、エゾセンニュウについては鳴き声すら確認できず。
嘗てはシマアオジも期待しましたが、シマアオジどころか全体的に鳥の数は減っているようです。
サロベツ原生花園を後にしてからはドライブがてら探鳥を楽しんでいると、コムクドリやニュウナイスズメを見る機会が多く、こちらは水浴び直後の個体でしょうか。
何処を走っていても目にするのはノビタキ。
見境なく道路へ飛び出してくるため運転には気をつけなければなりません。
鳥も然ることながら気をつけなければいけないのはエゾシカ。
レンタカーを借りる際に『エゾシカとの事故が増えている』とスタッフから念を押された通り、道路へ飛び出してくることも屡々。
海沿いを走っていた時の出来事。
モノトーンの印象が強いチュウヒを目撃しました。
こうした羽衣のチュウヒを見たのは初めてであったと同時に、海を背景に飛ぶ姿は地元で見ることができないため時間を割いて観察することに。
強風の影響もあってか、ゆっくりと飛翔するチュウヒ。
狩りの場面を存分に観察できました。
あれよあれよという間に時間が過ぎ、気付いてみれば正午頃。
昼食は海の幸を楽しもうと回転寿司屋へ足を運びましたが、思った以上の混雑ぶり。
混雑ぶりからも、さぞかし美味しいだろうと期待しましたが…
決して不味くはありません。
しかし北海道の回転寿司と言えば思い浮かべるのは根室花まる。
私の舌は花まるによって肥えてしまったのか、やや不満の残る結果に。
食事を終えて向かったのは稚内駅。
日本最北端の駅として知られる稚内駅は線路の先が行き止まりとなっており、旅の終着点らしい雰囲気が漂っていました。
観光客でごった返す稚内駅では食後のデザートに宗谷の塩ソフトをチョイス。
最北端の海で作られた天然塩を使ったソフトクリームはミルクの甘みとほのかな塩気がマッチしており、観光客に人気のスイーツになっているようです。
腹拵えを済ませた後は再びドライブを楽しみ、宗谷方面ではキタキツネとの遭遇が相次ぎました。
なかでもこちらの2頭は積極的に近寄ってきたため、人の手から餌を貰った経験があるのかもしれません。
可愛くも思えますが、人に対しての警戒心が弱くなると悲惨な結末を招きかねないため、どんなに近寄ってきても餌を与えないようにしましょう。
キタキツネを眺める傍ら、久しぶりに聞こえてきたのはベニマシコの鳴き声。
この時期にベニマシコが見られるのは北海道ならでは。
改めて北の地に居ることを実感させられたように思います。
そしてここからが旅の本番。
足を運んだのは日本最北端の地である宗谷岬。
遡ること数年前、宗谷岬で目にしたのは帯状に連なるウトウの群れでした。
延々と移動する群れは数え切れず、呆気に取られながら眺めていたことを思い出します。
その光景が忘れられず、もう一度この目で見たいと思ったことが今回の旅を計画した最大の理由。
駐車場へ着いて直ぐに沖を眺めてみると、既に飛んでいたウトウの群れ。
数こそ数年前より見劣りしたものの、次から次へとやって来ます。
東から西へと移動する群れはおそらく天売島を目指しているはず。
宗谷岬から天売島までの距離はおよそ130kmとあって、ウトウの飛翔速度を考えると2時間ほどで到達することでしょう。
巣穴で待つ雛のため毎日のように移動を繰り返しているかと思うと、その逞しさには頭が下がる思いです。
時間の経過と共にウトウの数が増えたため、宗谷岬から最寄りのてっぺんドームへ移動。
そこで目にしたのは圧巻の光景でした。
ウトウとの距離が近くなったことにより、宗谷岬からは見えない群れも観察することができ、肉眼で確認できる群れも多かったように思います。
今更ながら思うのは、遊漁船をチャーターして海上から観察できたなら、どれほど楽しかったことでしょう。
ウトウの観察中、間近の水面が不規則に波立つことに気付き、よく見てみるとネズミイルカが泳いでいました。
ちょっとしたサプライズも楽しみつつ、ウトウを存分に観察して日程二日目の探鳥は17時で終了。
この日の夜も人気の居酒屋に繰り出し、海の幸を堪能して一日を終えました。
2026年6月14日
日程三日目は最終日。
この日は正午頃に空港へ戻らなくてはいけなかったため、遠出することなく稚内市街地周辺で観察を楽しむことに。
手始めにノシャップ岬での探鳥を考えましたが、移動中に目にしたのは公園の看板。
これまでに足を運んだことのない場所だったため、探検がてら足を運ぶと悠々と過ごすエゾシカの群れが見られました。
エゾシカを眺めていると聞こえてきたのがコマドリの囀り。
市街地で繁殖するのも北海道ならではといったところでしょう。
複数の個体が囀っていたため1羽くらい見られるのではと粘ってみましたが…
安々と姿を見せてくれるものではありません。
笹薮の中を動く様子に注視しながら、粘ること30分。
樹上へ移動した瞬間を捉えました。
何をこんなにムキになっているのかと我に返り、当初予定していたノシャップ岬へ。
ここで耳にしたのはアリスイの鳴き声。
「こんなところで!?」と耳を疑いましたが、聞き間違えるはずもありません。
周辺を見渡してみると鳴き声の出所は電線でした。
周辺には営巣に適した木が見当たらないにも関わらず、何故このような場所で鳴いているのか。
驚いたことにこうした個体は1羽だけではなく、海沿いのあちこちで目撃。
北海道では地元の常識が通用しません。
不可思議な光景に首を傾げていた時の出来事。
何気なく海を眺めると、視界に入ったのはウトウの群れ。
前日とは異なり、西から東へと移動する姿が見られました。
おそらく朝一番に天売島を離れ、宗谷海峡へやって来たのでしょう。
まさかウトウの出勤を見られるとは思いもよらず望外の喜び。
海沿いではアマツバメが飛び交い、聞こえてくるのはシマセンニュウの囀り。
これぞ北海道という光景を楽しむことができました。
最終日は短い時間ながらも内容の濃い時間を過ごすことができ、旅の締め括りに選んだのは稚内ラーメン。
具沢山の稚内ラーメンは海鮮の出汁が味わい深く、北海道を凝縮したような一杯でした。
今回の旅を振り返ってみると、期待したサロベツ原生花園では寂しさを感じる場面もありましたが、その一方で宗谷岬では念願だったウトウの群れを再び観察することができました。
鳥たちを取り巻く環境の変化に寂しさを感じながらも、北海道にはまだまだ心惹かれる光景が残されています。
いつの日か再びこの地を訪れ、北の自然を楽しみたいと思います。
2026年 野鳥観察の旅 in 道北 (6月) はここまで。