2025年2月7日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の旅行はいつもと事情が異なり北海道を初めて旅行されるというお客様から観察帯同の依頼があり真冬の道東を目指すことになりました。
今季最強・最長寒波が襲来するなか秋田を離れることになりましたが、出発直前まで気を揉む状態が続いたのは初めての沖縄旅行以来だったでしょうか。
こちらは出発二日前に届いたANAのアラートメール。
秋田が良くても中継地の千歳はどうなのか。
千歳が良くても中標津はどうなのかと欠航の可能性もあっただけに千歳空港へ着いた時には安堵の気持ちが先に立っていました。
但し悪天候の影響により到着が30分遅れたため乗り継ぎ時間はほんの僅か。
いつもの店を覗くと行列ができておりとてもではありませんが待っていることはできませんでした。
個人的定番としているメニューを食すことができず、ラウンジでタダ飯を掻き込むと慌ただしく中標津行きの搭乗口へ…
防除雪氷作業に時間を用し定刻より少し遅れて千歳空港を離陸。
中標津空港まで気流不安定のなかフライトが続いたものの無事目的地へ着けたことが何よりでした。
降機して驚かされたのは雪の多さと気温の高さ。
この時期の道東と言えば極寒とも言える厳しい寒さを誰しも想像することでしょう。
しかし蓋を開けてみれば秋田と変わらない気温に拍子抜け。
寒さが厳しくとも雪は少ないというのが本来の道東。
この常識を覆す積雪量に不安を抱えながらの出発となりましたが、除雪がしっかりと行き届いていたこともあり道路状況は思ったほど悪くないのが幸いでした。
但しいつも立ち寄る漁港は雪が多くて入ることができず…
観察場所が制限されるなか港内を覗くとシノリガモの群れが見られたため少しばかり観察の時間を設けることに。
その他に確認できたのはホオジロガモ・ヒドリガモ・ウミアイサ・ヒメウなど。
アビ類やウミスズメ類は確認できず早々に羅臼港を目指しました。
羅臼町へ入るとオオワシやオジロワシが多く見られるようになり、羅臼港の防波堤には複数の個体が。
お客様にとって初めて見る沢山のワシ。
だいぶ興奮しているように見受けられましたが無理もありません。
猛禽類が好きだというお客様は真冬の道東に憧れを持っていたそうです。
計画通りであれば流氷に乗ったオオワシやオジロワシを観察する予定でしたが、今季は流氷が遅くこの日の時点では未だ北海道に接岸すらしていない状態でした。
そのため想定する光景での観察は叶わなかったものの、この時ばかりは流氷のことなど頭から離れていたかもしれません。
羅臼港での観察は翌日に備えての肩慣らしと捉え、早々に道の駅へ移動して早めの夕食を頂くことに。
こちらもお客様のリクエストにあったホッケ焼き定食。
配膳されたホッケを見て目を丸くするお客様。
『こんなに大きなホッケは食べたことがない』と驚いた様子でしたが、もっと大きなサイズもあることを伝えると開いた口が塞がらないようでした。
気になる味については「美味しい」という表現の他ありません。
醤油をかける必要もなければ塩を振る必要もなし。
脂が乗ったホッケはそのままが一番。
大満足の食事を終えてシマフクロウの観察へ移動すると道端で見られたのはエゾシカの群れ。
エゾシカを見るのも初めてのお客様とあってこちらもだいぶ興奮しているように見受けられました。
シマフクロウの観察小屋へ着いて驚愕したのが直近の記録。
記録帳に目を通すと一回目の出現は軒並み真夜中になっており、日没後の出現が稀という状態。
餌付けの観察とは言え野生の生き物が相手とあってこればかりは仕方のないこと。
早めの出現を願って待機していると17時39分、川の下流側からシマフクロウが飛来しました。
早い段階での出現にお客様より私の方が喜んでいたかもしれません。
場合によっては明け方のみ出現することもあるでしょう。
翌日のことを考えなければ問題ありませんが、短い旅程ではそうもいかず止め時の判断が非常に難しいと感じます。
そういった意味もあってお客様と私の喜び方は異なりましたが、悪天候の影響から中国人の予約が26人キャンセルになっていたこともラッキーでした。
観察を楽しみにしていた中国人には申し訳ありませんが、ごっそりとキャンセルが発生したことによりこの時期としては珍しく私たちの他にお客さんは4名のみ。
シマフクロウの観察はおよそ10分ほどでしたが飛去後のお客様には満面の笑みが。
想像より遥かに大きいシマフクロウを目の当たりにして感動したそうです。
タイムリミットを21時として次の出現を待ちましたが、残念ながら時間内に姿を現すことはなく諦めも肝心として観察小屋を後とすることに。
宿泊先へ向かう途中にはセイコーマートへ立ち寄り大好物のクロワッサンを大量購入。
その辺のパン屋より美味しいクロワッサンをコンビニで買えるとあって、これも北海道の思い出になればと旅行前からお客様に奨めていました。
2025年2月8日
日程二日目はお客様にとってメインイベント。
クルーズ船に乗っての海鷲観察でしたが流氷が無い状態での観察は私も経験したことがありません。
どの様な観察となるのか未知数とあって一抹の不安があったものの、朝焼けの見える空に期待が高まりました。
乗船の手続き前に羅臼港へ足を運ぶと前日とは比べ物にならないほどのワシが並んでおり国後島を背景に記念撮影。
早朝便は朝焼けのなか素晴らしい光景が見られたことでしょう。
しかし私たちが乗る午前便が出港する頃には怪しげな雪雲が…
8時30分に港を出ると辺りが見えなくなるほどの猛吹雪に。
近くを飛ぶオジロワシを撮影してもこの有様です。
あまりの悪天候に船は一旦港へ戻り防波堤の個体群を観察することになりました。
しかし雪は強まる一方で止むことを知りません。
ただひたすら吹雪に耐える時間を強いられもはや我慢大会。
不幸中の幸いだったのは例年にない気温の高さ。
この時の気温は氷点下2℃と凌ぎやすい気温だったこともあり、撮影する手が悴むということはありませんでした。
これが例年通り二桁の氷点下であればシャッターを押すことすら辛かったことでしょう。
出港してから一時間ほど経つと雪は小康状態となり船は再び外港へ。
ようやくすっきりとした天候のもと撮影できるようになり、お客様は夢中になって撮影を楽しまれていたようです。
今季はオオワシの個体数が多いと感じる羅臼港でしたが、海上を飛ぶ個体はオジロワシの方が優勢だと感じました。
こうした様子からオオワシとオジロワシの狩りに注目。
両者を比較するとオジロワシの方が反転速度が早く降下角度が急。
進行方向に対しての迎え角も異なり、この点については体長の差によるものなのかもしれません。
時にはインメルマンターンに近い機動を見せることもあり、より速く効率的に餌を獲ろうとする姿は戦闘機の航法に通ずるものがあります。
旋回性能を自衛隊機に例えるとF-15がオオワシ、F-2はオジロワシといったところでしょうか。
地元ではできない両者の比較。
こうした観察ができたのは流氷がなかったからこそ。
捕獲の観察に区切りをつけてこの後は純粋に撮影を楽しみました。
曇天を考慮して飛翔シーンは空抜けにならないよう背景のある場所を狙っての撮影です。
流氷が無かったこともあり、2時間のクルーズは1時間半に縮小。
それでもお客様にとっては満足のいく観察・撮影ができたとのことで港へ戻っても興奮冷めやらぬといった状態でした。
私はこれまでに2月上旬の平面な流氷と2月下旬の立体的な流氷を経験してきましたが、流氷の無い状態での撮影はこれまでに経験が無かったこともあり今回の観察と撮影は新鮮な気持ちで楽しむことができました。
猛吹雪での撮影は大変だったものの改めて画像を見てみるとスッキリとしたロケーションで撮影するより強く思い出に残る写真となりこれはこれで良かったという結果に。
流氷を期待していたお客様にとっては残念な気持ちもあったと思いますが、羅臼で見たワシの大群はきっと良い思い出として残ったことでしょう。
クルーズ船での海鷲観察を終えた後は野付半島を目指しましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。