2025年4月26日
本日更新の日記は観察旅行記。
今回の目的地は鹿児島薩摩半島から西に約30km、東シナ海に浮かぶ甑島。
昨年も同時期に渡島した離島ですが、初めて渡った甑島ではこれまでに経験したことのない観察ができたこともあり今年は友人を誘って旅の計画を立てました。
当初の予定では初日のうちに甑島へ渡るはずだったものの国内旅行の需要が高まっているためか都合の良いチケットを確保できず…
そのため初日は完全なる移動日。
羽田空港を経由して鹿児島空港へ着いたのは17時05分。
一年ぶりの西郷さんに挨拶を済ませた後は約1時間半ほどかけて高速船ターミナルのある薩摩川内市へ移動しました。
2025年4月27日
日程二日目。
昨年と同様に今回も高速船を利用して甑島へ。
※高速船とフェリーでは乗り場となる港が違うため要注意。
川内港高速船ターミナルを8時50分に出港するとクロサギが船首間近を通過し、航路ではオオミズナギドリとカツオドリを見ることができました。
観察種こそ伸びなかったものの昨年より個体数が多かったように思います。
下甑島の長浜港へ到着したのは10時25分。
下船後は港から徒歩1分のレンタカー屋に足を運び、慌ただしく準備を整えると下甑島の主要探鳥地を目指しました。
付近の様子に気を配りながらゆっくり移動すること約15分。
主要探鳥地が見えてくると目に飛び込んできたのは数多くのバードウォッチャー。
某ツアー会社の一行も観察を楽しまれているようでした。
私達も早速探鳥へ出向きましたが、始めに観察したのはタカブシギとウズラシギ。
採餌が優先となっていたのか徒歩の人間に対しても警戒心を表さず。
ウズラシギは何らかの幼虫を捕らえ一心不乱な様子。
間もなく視界に入ったのは青空を飛び回るツバメチドリ。
このカットを撮影した直後、昆虫をフライングキャッチしていました。
田んぼへ降りたツバメチドリは4月20日に秋田市で見つけた個体と異なりまるで警戒心を感じさせません。
南の地域で見られる個体は何故警戒心が緩いのでしょう。
掲載した画像だけを見ると幸先の良いスタートを切ったようにも思えますが私が感じたのは昨年との違い。
昨年は否応なしに視界に入るホオジロ類やセキレイ類の数に驚かされ、探鳥直後に出会えたシマアオジは今でも強く印象に残っています。
鳥が多いという印象の甑島でしたが、今回は珍鳥どころか普通種すら少なく同じ島とは思えないほど…
首を傾げながら探鳥していると偶然にもお会いできたのは福岡のバーダーさん。
以前、長崎県の烏帽子岳でアカハラダカを観察した際にお世話になった方ですが、親切にも甑島の状況について丁寧に教えてくださいました。
更に『ここからは分かりにくいと思いますが、シマノジコが正面にいます』と有難い情報を寄せてくださり、教えて頂いた通り双眼鏡を覗くと乾いた田んぼを動き回るシマノジコを確認。
しかしながら立ち位置から遠く離れており、起伏のある田んぼではまるで間違い探し。
光線の状態は悪くなるものの角度を変えた方が見易いとの指南を受けて立ち位置を変えてみたところ畔に登る場面を見ることができました。
掲載した画像は原画になりますが見ての通り証拠写真。
これでもまだ良かった方でしょうか。
シマノジコを始めとして田んぼに入っている小鳥は肉眼で認識できないことが多く双眼鏡で探りを入れなければ存在に気付けないほど。
そのため掲載する画像は目一杯拡大しなければならず以下の画像は相当粗いものとなります。
※拡大画像には注釈を入れた上で掲載。
先ずはこの旅で一番のお目当てとしていたシマノジコ。
※拡大画像
昨年はタッチの差で見ることができなかったため、今回は距離がどうであれ国内で観察できたことを嬉しく思いました。
キマユホオジロは昨年と異なり個体数としては随分と少なめ。
※拡大画像
島中キマユホオジロだらけといった状態は毎度のことではなく、たまたま昨年が当たり年だったのかもしれません。
田んぼで見られるシベリアアオジは羽衣の特徴から一番分かり難かったように思います。
※拡大画像
シベリアアオジもまた昨年に比べると個体数が少なく感じ、こうした印象を受けていたのは私だけでありませんでした。
昨年観察を共にしていたバーダーさんがほぼ全員集合しており、皆さん声を揃えて『鳥が少ない』と手持ち無沙汰な様子。
農地からは『チィー』と声を発しムネアカタヒバリが飛び立つものの観察には程遠い状態。
※拡大画像
証拠写真を量産するなかオウチュウだけはまともに観察することができ、こちらは間近に飛んできた場面を撮影したもの。
昨年見られた個体は警戒心が強く証拠写真を残すにも四苦八苦しましたが、今回の個体は行動パターンを読み易く電線に止まる姿が多く見られました。
オウチュウの観察を終えて農地を離れようとした時の出来事。
電線に止まるアオバトを目撃しすかさずカメラを構えると、ファインダー越しに見えたのは赤い頭頂。
瞬時に脳裏を過ったのはズアカアオバトでしたが…
※拡大画像
手持ちの図鑑によるとズアカアオバトの生息域は屋久島以南の南西諸島に分布するとあります。
つまり甑島は生息域から外れていますが、そもそも日本で見られるズアカアオバトの頭頂は和名に反して赤くありません。
頭頂が赤い特徴を持つのは台湾産亜種。
この個体は一体何者なのでしょう。
下甑島での探鳥に区切りをつけ宿泊先の上甑島へ移動しましたが、その道中に見られたのはアカハラ。
普通種ではありますが、エンベリが主体の甑島でツグミ類を見たのはこの時限り。
上甑島の農地を巡回すると昨年田んぼだった場所が放棄地になっており、この島もまた農業の担い手が減りつつあるのかもしれません。
荒れ地だらけの農地で見られたのはカラムクドリ。
※拡大画像
水浴び直後で羽がずぶ濡れです。
この日は宿泊先の芝生で採餌するムナグロを観察して甑島初日の探鳥を終了としました。
2025年4月28日
甑島での探鳥二日目。
この日は正午頃まで風雨が強まるとの予報に期待を込めて宿泊先を出発。
悪天候を受けて渡り鳥がドサッと入ることを願い探鳥地へ入りましたが、数が増えるどころか寧ろ減ったような…
顔を合わせる方々も困惑しているように見受けられ、友人がお目当てとしていた雄のシマアオジも見つからず私の気持ちは沈むばかり。
鳥が少ないと感じるなか陽射しの影響を受けずに観察できたことは唯一良かった点でしょうか。
※拡大画像
但し、証拠写真という点については変わりありません。
キマユホオジロに次いでノジコもまた観察には程遠い状態でした。
※拡大画像
何処を回っても鳥相に変わりはなかったものの、ムネアカタヒバリとコホオアカだけは若干個体数が増えており、そのなかから観察のしやすい個体を探してみることに。
こちらはムネアカタヒバリを写した原画。
肉眼では「何かが動いている」といったようにしか見えません。
コホオアカもまた同様。
起伏のある田んぼでは何がなんだか…
拡大してようやく分かるといった状態です。
※拡大画像
八方塞がりといった状況に見るべき鳥はシマノジコのみ。
こちらも間違い探しの様相でしたが、甑島だからこそ見ておくべき鳥と考えました。
シマノジコの動向に注目していると少しだけ距離が縮まる場面があり、今回の旅において最も解像したのはこちらの画像。
長時間観察することにより行動パターンも把握することができ、休憩の際には田んぼを離れ樹木の隙間へ紛れることが判明。
※拡大画像
シマノジコを観察する傍ら周囲の状況にも気を配りましたが、残念ながら終日鳥相に変化は見られませんでした…
2025年4月29日
甑島での探鳥三日目。
旅程としても最終的のこの日は10時30分出港の高速船で甑島を離れなければなりませんでした。
そのため探鳥に充てられる時間はほんの僅か。
その僅かな時間のうちに一つでも良い場面があればと宿泊先を出発すると、友人が港近くを飛ぶカツオドリを発見。
逆光ではありましたが陸地からカツオドリを観察できるのは鹿児島ならではといったところでしょうか。
普段であれば腰を据えて観察するところですが、先を急いでいたため下甑島へ向かうと…
目にしたのは前日と変わらない様子のバードウォッチャー。
鳥相に変化がなかったことが一目瞭然でした。
結局残された時間はシマノジコの観察に充てましたが、シマノジコと共に田んぼと樹木を行き来するキマユホオジロを見ていると願ってもない観察のチャンスが到来。
樹木から降りたキマユホオジロは道路脇で採餌する場面もあり、ようやく観察らしい観察ができたように思います。
そうこうしているうちに港へ戻らなければならない時間となり、甑島での探鳥は消化不良の気持ちを抱えたまま幕を閉じました。
今回の旅は想定したものと全く違った内容となり正直なところ残念と言う他ありません。
しかし野生の生き物が相手とあってこればかりは仕方のないことでしょう。
鳥果はさておき甑島で声を掛けてくださった皆様、滞在中は親切にして頂きありがとうございました。
また何処かでお会いできる日を楽しみにして今回の旅行記はここまでにしたいと思います。
2025年 野鳥観察の旅 in 甑島 (4月) はこれにておしまい。