前回のあらすじ。
災害級の暑さが続くようになり夏場の観察は命懸けと言っても大袈裟ではなくなってしまった昨今。
日常生活すらままならない状況になることを見越して今年の夏季休暇はパースの旅を計画しました。
出国前日は様々なトラブルに見舞われ心労が激しかったものの、パース空港へ到着すると期待通りの爽やかな空気に気分は上々。
暑さに滅法弱い私にとって天国とも思える気候のなか、待ちに待った夏季休暇が始まりました。
2025年8月10日
雨が降る生憎のお天気で迎えたパースの朝。
起床したのは現地時刻の6時半頃だったでしょうか。
日本とはマイナス1時間の時差ですが辺りは暗闇に包まれており、ケアンズと比べても随分日の出が遅く感じました。
7時になると薄っすら明るくなり始めたものの、とてもではありませんが観察できる状況にありません。
こうした様子から朝はのんびりと過ごし朝食は宿泊先のレストランを利用しましたが…
なんとバイキング形式。
カフェ文化が根強いオーストラリアとあってお洒落な朝食を期待していただけに落胆の色を隠せず。
バイキングを苦手とする私が盛り付けると脂質・糖質のオンパレード。
見るからに栄養のバランスが悪く肥満街道まっしぐら。
朝食を済ませた後は空港へ戻りレンタカーを調達しなければなりませんでしたが、経費節減のため宿泊先の無料送迎を申し込んだところシャトルバスは10分前に出たばかりだとか。
次の出発は50分後になるというフロントの話から渋々タクシーを呼んでもらうことに。
朝方の雨も止みこの頃になると青空の見える天候に回復しましたが、ローカルニュースでは雨予報。
地中海性気候のパースは6〜8月が冬にあたり最も降水量が多くなる時期とあっていつ降り出してもおかしくありません。
雨が止んでいるうちに観察に繰り出したいところでしたが、果たしてレンタカーは…
タクシーを降りて始めに向かったのはAgodaから予約を入れた店舗。
怪訝な顔で『予約が入っていない』と言われることを覚悟しつつ店員に話しかけると意外にもにこやかな対応。
当たり前のようにパスポート及び日本と国際免許証の提示を求められ、保証金の手続きを済ませると車の鍵が渡されました。
Agodaの予約は正常にできており、どうやら私の老婆心が過ぎたようです。
結局Bookingからの予約分は無駄になってしまいましたが無事に手続きが進み一安心。
レンタカーの乗り入れに際し店員と共に車のチェックをすることはなく、車の置き場所について説明があるだけ。
ケアンズでも同様の形式が取られていたためオーストラリアではこうした貸し出しが一般的なのかもしれません。
店員の説明がアバウト過ぎて予約した車を見つけることができず、右往左往していると道案内してくれたのはカササギフエガラス。
勿論冗談ですが、人に対して全く警戒心を見せないこの距離感。
これぞオーストラリアといった様子にスマホで撮影する私はニヤニヤしていたことでしょう。
散々迷った挙げ句、もう一度店員に聞き直し駐車場所へ着きましたが車さえ手に入ればこっちのもの。
この日の探鳥地はキングスパーク。
東京ドーム約80個分の面積を誇る巨大な公園が都市中央の高台にあり、パースの街並みを一望できるとか。
そのため多くの観光客が訪れる人気スポットと知って、探鳥だけではなく景観も楽しみにしていました。
ナビを頼りに車を走らせると都心に向かうにつれ難解な道路が多くなり、ナビを使っても道を間違えそうになるほど。
複雑に交差する道路が多く、キングスパースへ辿り着くまで風景を楽しむ余裕が無かったように思います。
駐車場へ着いた頃には青空から一転して雨が降り始め、外へ出ることを躊躇うほどの降り方でしたが車の中に居ては何も始まりません。
そのため雨衣を着て公園内を散策してみると印象に強かったのはきちんと整備された広い芝生。
青々とした芝生には落ち葉が舞っており、改めて季節が真逆であることを感じさせられました。
ビュースポットから望むパースの街並みは雨によって霞がかかり、噂にある『世界一美しい都市』には思えず…
期待外れの景色に肩を落としていると眼下には沢山の小鳥が見られパースならではの観察を楽しませてくれました。
こちらはウタミツスイ。
調べたところオーストラリアに広く分布するウタミツスイは何故かケアンズに生息しておらず私にとっては初見。
ちょこまかと動き回り撮影に難儀したのはマミジロヤブムシクイ。
和名にある通り藪が生息環境になっているのかヤブサメを見ているような感覚でした。
一際存在感を放っていたのはアカミミダレミツスイ。
インパクトの強い鳥だけに初見時は面白がって観察していたものの、この鳥は排他的な性格の持ち主で他の鳥を観察している時には「厄介」と感じる存在に。
唯一聞き覚えのある鳴き声を発していたのはワライカワセミ。
公園内には複数の個体が生息しており声量の大きさ、特徴からもワライカワセミの気配は遠くに居ても感じることができました。
ワライカワセミを観察していると急速に天候が回復し気温は一気に上昇。
それでもこの日の気温ほピーク時であっても20℃に満たなかったと思います。
ワライカワセミに負けず劣らず大きな声を発していたのはヒメテンジクバタン。
観察当時はテンジクバタンと思い込んでいましたが、翼下面が黄色であったためヒメテンジクバタンと判断。
広い公園を歩き回っていたこともあり、喉の渇きを感じて時刻を確認すると間もなく正午といった頃。
当初の予定では市街地へ出て昼食を取る予定でしたが、手っ取り早く公園内のカフェを利用することに。
私が昼食に選んだのはクロワッサン。
朝食にもクロワッサンを食べていましたが、私は食のキャパシティが狭いため何処へ行っても同じものを選びがちです。
こちらではハムやチーズを挟んでいるとのことで出来上がりを待っていると…
「なんだこれ」
どうしたらこんなにぺしゃんこになるのか。
しかし見た目に反してビックリするほどの美味しさでしたが、お値段もビックリ価格。
オーストラリアはとにかく物価が高い。
クロワッサンを食べていると足元にツチスドリが近寄ってきましたが、おこぼれを狙ってのことでしょう。
私は面白がってスマホで撮影していましたが現地民は無反応。
日本のように過剰な反応を示さないことこそ生き物との距離を近付けるのかもしれません。
昼食を終えた後は改めてパースの街並みを眺めましたが、ビュースポットの前にそびえ立つのは戦没者慰霊碑。
第一次世界大戦で命を落とした兵士たち7000人以上の名が刻まれており、毎年4月25日のアンザックデーには夜明けの追悼式に4万人以上が集い祈りを捧げるそうです。
青空の下パースの街並みを眺めると噂通りの素晴らしい景観。
スワン川が広がり遠くにはインド洋を望むことができ、多くの観光客が記念撮影をしていました。
午後の探鳥を始めて間もなく、樹上に並ぶ2羽のモモイロインコを見つけると突然目の前へ急降下。
嬉しい反面、望遠レンズでは撮影不可といった距離に慌てて後退しました。
頻りに樹洞を覗き込んでいたため営巣場所を探しているものと思いましたが、何かを啄む様子が見られ貯食だったのかもしれません。
公園内にはカササギフエガラスが多く、こちらの3羽は特徴的な鳴き声を発しコミュニケーションを図っているようでした。
テレビ番組で生態を知ってからじっくりと観察したいと思っていただけに、カササギフエガラスを目にしては立ち止まる時間か長かったように思います。
木々が生い茂ったエリアを進むとパプアオオサンショウクイに似た風貌の鳥を発見。
大きさや行動からも類似種であろうと思い観察していましたが、調べてみたところこちらの鳥はオーストラリアオニサンショウクイであることが判明。
突然、視界に緑色の鳥が飛び込み樹洞を行き来していたのはコダイマキエインコ。
モモイロインコと同様に樹洞を覗き込む様子が見られましたが、関東で見られるワカケホンセイインコも同じような行動をするのでしょうか。
外来種ではありますが、いつか観察してみたいと考えています。
更なる出会いに期待して探鳥を重ねるとホウセキドリを発見。
大きさや行動はムシクイに似ており双眼鏡で追うこともままならず。
そのため撮影に関してはカメラ任せにひたすら連写するしかありませんでした。
散策コースを歩いているとアカクロオウムの看板を見つけ説明書きを読んでいると真っ正面の木にアカクロオウム…
と思いきや、木に止まっていたのはタテガミガン。
とんだ糠喜び。
黒いオウムが見たくて公園内を彷徨い続けたものの結局見つけることができずこの日の探鳥を終えることに。
キングスパークを離れる間際には入り口にあるユーカリ並木を記念撮影。
朝方は運転に集中していたため写真を撮る余裕はありませんでしたが、日本では見られない風景とあって改めて写真を残して良かったと思います。
都心へ向かっていた時の出来事。
街路樹のデイゴが満開になっており滅茶苦茶な季節感に思わず車を停めるとゴシキセイガイインコが群れていました。
これもまたオーストラリアならではの光景とスナップ撮影。
間もなく都心へ入るとパース駅を跨ぐ道に差し掛かったことに気が付き高みの見物。
海外では未だ鉄道を利用したことがないため、いつの日か列車の旅をしたいと考えていますがいつになることやら…
パース都心はビル群のなかに歴史ある建物が混在しており、見所が多い街だと感じさせられます。
都心を抜けて向かったのは港町フリーマントル。
スワン川の河口に位置するフリーマントルは開拓時代に建てられたコロニアル調の建物が立ち並ぶ人気の観光地。
きっと美味しいものも沢山あるだろうとナビを頼りに車を走らせましたが…
見えてきたのはコンテナの山。
ナビの設定を誤り港町の対岸に位置する港湾施設へ入ってしまいましたが、ここで思わぬ出会いに恵まれました。
港湾内を飛んでいたのはオーストラリアシロカツオドリ。
もしかすると地元の方でもなかなかお目に掛かることのできない貴重な場面だったかもしれません。
外港へ出たオーストラリアシロカツオドリは港へ戻ってくることはなく、改めてナビの設定をやり直して港町へ。
始めに足を運んだのは1897年開設のフリーマントル・マーケット。
歴史ある市場には地元産の農産物だけではなく、手作り工芸品やアパレル、スナックにコーヒーなど様々な商品が並び活気に満ち溢れていました。
市場周辺には沢山の飲食店が軒を連ねており、この日の夕食は多国籍料理の店へ入ってみることに。
私が選んだのはマッサマンカレー。
相変わらず食のキャパシティが狭い私は得体の知れない料理を選ぶよりならとカレーを注文しましたが…
「ほぅ、これがマッサマンカレーか。それにしてもこのご飯の盛りは?」
マッサマンカレーが何たるかを知らずに注文した私。
躊躇なく口へ運ぶと…
「バージャオ(八角)の風味がするぞこれ」
更に友人が注文した料理をつまむとウーシャンフェン(五香粉)の味が口いっぱいに広がり、こちらの店は中華系スパイスをふんだんに使っていることが判明。
オーストラリアに来てまで八角地獄に遭うとは夢にも思わず、オリエンタル過ぎる料理に涙目になった夜。
食事を終えて外へ出ると港町はモダンな雰囲気を漂わせていました。
日程三日目はパース郊外の公園で観察を楽しみましたが、そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。