前回のあらすじ。
日程五日目は海沿いのリゾート地バッセルトンを離れて西オーストラリア州の南西端に位置するルーウィン岬へ。
果てしなく広がる牧場や赤土の荒野を走り抜けること約一時間半。
岬から望むことができたのはインド洋と南太平洋がせめぎ合う、美しくも不思議な色の海でした。
心地良い風を感じながら海沿いの町で食べるFish&Chipsは異国情緒たっぷり。
お目当ての鳥は見られなかったものの非日常の景色と食事を楽しむことができ、この日は五感を使ってオーストラリアを味わえたように思います。
2025年8月14日
日程六日目はオーストラリアで過ごす夏季休暇も最終日。
夜半過ぎまで続いた嵐は明け方に落ち着き清々しい朝を迎えました。
当初の予定では首都パースへ戻り海岸での観察を計画していましたが、バッセルトンの住宅街で小鳥を観察したいという友人のリクエストに応えて予定を変更することに。
牧場を横目に車を走らせていると杭に止まるオーストラリアチョウゲンボウを発見。
杭から飛び立ったオーストラリアチョウゲンボウはホバリングしながら小刻みに場所を移動しており、少しでも距離が縮まればと暫く待ってみたものの一向に距離は縮まらず…
いつ距離が縮まるか分からないオーストラリアチョウゲンボウに見切りをつけ、期待値の高かった住宅街へ移動してみると前日サンショクヒタキが見られた場所にアカハラモズヒタキの姿がありました。
目新しい出会いに嬉々としたのも束の間。
木々を素早く移動するアカハラモズヒタキは観察できる状態になく証拠写真の撮影が精一杯。
注意深く動向を探ったものの、たちまち姿を見失ってしまいました。
肩を落とし右往左往していると住宅街は小鳥たちの鳴き声で賑やかになり、手始めに観察したのはハイムネメジロ。
日本のメジロに比べると全体的に灰褐色みを帯びており、アイリングが太く明瞭です。
忙しなく動き回るオーストラリアメジロと対照的に、じっくり観察させてくれたのは巣材を集めていたホウセキドリ。
初見のキングスパークでは証拠写真の撮影もままならないという印象でしたが、この日は同じ場所を行き来していたせいでしょうか。
非常に観察し易くホウセキドリに対する印象がガラリと変わりました。
前々日は観察が難しいと感じたキバラモズヒタキもこの日は出が良く好条件での観察。
バッセルトンの住宅街で見られる小鳥たちは日本で見られるカラ類の混群と同じように混群を成して移動することが多く、タイミングさえ良ければ一度に纏った種を観察できるようです。
住宅街に静けさが戻り範囲を広げて探鳥してみると貯水池にはノドグロカイツブリの姿が。
和名にある通り日本で見られるカイツブリと色合いが違ってもカイツブリはカイツブリ。
生態に違いは見られません。
富裕層が住むであろう住宅の庭には20〜30羽のモモイロインコが群れていることも珍しくなく、カメラを向けたい衝動に駆られましたが柵に止まる個体でぐっと我慢。
住宅街での観察も程々にバッセルトンを離れたのは9時30分頃。
名残惜しさを感じつつ首都パースを目指して高速道路を走っていると日本のサービスエリアに該当するRest Areaを目にしました。
休憩がてら立ち寄ってみたところ施設内には雑貨を取り扱う店舗の他、ハンバーガーショップが隣接。
ジャンクフード好きの私にとっては夢のような空間です。
日本の高速道路では数十km間隔にPA/SAが設計されているのに対して、国土の広いオーストラリアではこうした施設が200km以上離れていることも当たり前。
そのため残燃料の確認は怠れません。
パースへ戻った頃には正午を過ぎており、この日の昼食はオフィス街にあるヒルトンホテルを利用することに。
多くのビジネスマンが席を埋めるなか私はこの時も作業着のまま。
場違い甚だしい格好でもポーカーフェイスでやり過ごし、二度と立ち入らないであろうオフィス街の雰囲気を楽しみました。
昼食を終えてコインパーキングの精算した時の出来事。
「マジかこの値段!?」
小一時間の駐車料金が2200円。
コインでは済まないオーストラリアの物価高を最も感じた瞬間でした。
残り少ない時間を観察に充てようと考え再び高速道路へ進みましたが、先が見えないほどの大渋滞。
いつ目的地へ着けるか分からない状態に観察を諦める他なく、残った時間は延長滞在する友人のため買い物へ充てることに。
様々な食材を買い揃えて宿泊先へ送り届けると、宿泊先近くにあったのはセントメアリーズ大聖堂。
思いがけず歴史的建造物を見ることができたのは立地の良い場所に宿を予約した友人のお陰と言えるでしょう。
これもまた旅の良い思い出になりました。
友人と別れてパース空港へ向かうと案の定こちらも大渋滞。
パースは慢性的な渋滞があるため時間に余裕を持って行動しなければいけないようです。
幸いにも午後の観察を取り止めたため慌てて空港へ走るということはありませんでしたが、観察を強行していたらどうなっていたことか…
レンタカーを返却するにあたり空港近くのサービスステーションへ立ち寄り最後の給油。
給油を終えて施設へ入るとカウンターには行列ができており、いつ会計に進めるのか見当もつかず。
渋々最後尾に並び会計を待っていると給油のみの場合はタッチパネルでも精算できることが分かり、私も見様見真似でパネルを操作。
自分が扱った給油機の番号をタッチした後、決済方法を選ぶだけという実にシンプルなものでした。
参考までに有人のカウンターでは「Pump5」といった具合いに給油機の番号を伝えるだけで会計へ進みます。
サービスステーションから空港は目の前。
事故もなく無事に空港へ戻ることができて何より。
数日間の出来事を思い出しながら帰り支度を整えていると付近のブッシュへ飛び込むレンジャクバトを目撃。
最後の最後に観察のチャンスが巡ってきました。
これがオーストラリアで過ごす夏季休暇最後の観察です。
レンジャクバトの観察を終えて国際線ターミナルへ移動しましたが、時間が早過ぎたのかカウンターには誰一人おらず、成田空港のようにANA専用のカウンターはありませんでした。
受付が始まるまでの間、これまで撮影した画像の整理をしていると徐々に乗客が集まりだしたため私も所定の列へ。
ここで思いもよらないハプニングが。
受付が始まりパスポートを渡すと慌てた様子のスタッフ。
手招きするスタッフに別のスタッフが駆け寄り何やらトラブルでもあったような雰囲気。
もしやダブルブッキングでもあったのかと思い尋ねてみたところ『遠藤様にはエコノミークラスのご予約を頂戴しておりますが、本日エコノミークラスが大変混み合っておりまして、宜しければビジネスクラスへアップグレードさせて頂きたいのですが如何でしょうか?』とのこと。
「え?無料で?」
『勿論でございます』
こちらは元々予約していたエコノミークラス、座席40Kを表示したアプリの画像。
このエコノミークラスがプレミアムエコノミーを飛び越し、二段階アップグレードのビジネスクラスに化けました。
なんたる幸運。
これもANAを贔屓に幾度となく搭乗を重ねてきたご褒美でしょうか。
ダイヤモンドメンバー万歳。
手続きを終えた後は足取りも軽やかにASPIRE LOUNGEへ。
初めて入るラウンジとあって内部を探検。
特に豪華という印象はなかったものの小腹を満たすには丁度良いといった印象です。
他の利用者はシャワーへ直行していましたが、そちらは予約が必要だったため私はバーカウンターから2本ほどビールを頂戴して搭乗時刻までゆっくりとした時間を過ごしました。
いよいよ機内へ搭乗。
長距離路線のビジネスクラスとあってシート周りは広々としており、フルフラットに変えられるようです。
そして座席にはETTINGERのアメニティポーチが。
着席するとウェルカムシャンパンが振る舞われ、食事は和食と洋食から選べるとのこと。
正直なところ全くと言っていいほど腹が減っておらず一度は食事を断ったのですが、エコノミークラスとの違いが気になり洋食を注文。
離陸から一時間ほど経つと食事の提供があり、エコノミークラスとは格段の違いがありました。
牛フィレ肉のソテーはトリュフが香る甘めのソースと合い、赤ワインとの相性も良かったように思います。
ANA公式のページから料理のコンセプトについて調べていたところ『2025年3月1日より国際線ファーストクラスおよびビジネスクラスの軽食メニューのラーメンをリニューアルし、独自に開発した「ANAオリジナルラーメン」の提供を開始いたします。日本出発便・海外出発便で異なる味をお楽しみいただける様に2種類のラーメンをご用意しました』との文言を発見。
これは頼まずにいられません。
CAを呼びラーメンについて伺ったところ『いつでも何杯でもどうぞ!』と笑顔で対応して頂きました。
間もなく届いたのは、飲み会の〆のラーメンならぬ旅の〆の豚骨ラーメン。
まさか空の上でラーメンが食べられるとは…
最後の最後までお腹いっぱいの旅でした。
今回の旅を振り返ってみると野鳥観察よりも食事に纏わる記憶が色濃かったように思います。
それを表すように帰国後、体重を計ると僅か数日間のうちに4kgも増えていました…
旅行記の最後に。
〆のラーメンのはずでしたが『いつでも何杯でも』の言葉をいいことに早朝にもラーメンを頼んでしまう私はダメ人間です。
2025年 野鳥観察の旅 in パース (8月) はこれにておしまい。